しゅんこう さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
今だからこそ、美しいガンダムを観よう。追記BD化です!
ガンダムもいよいよ35周年に突入しようとしています。
初代よりエポックメイキングな作品として
時代を切り開き、またシリーズごとに作風を変えて新しい価値に挑戦しながら、ガンダムは世代を超えて多くの人にその名を知られてきました。
そんな数あるシリーズの中でも特に味わい深いのがこのターンエーガンダムです。20周年という大きな節目に作られただけあり、異彩にあふれています。
{netabare} まずOPテーマに西城秀樹さんのターンAターン。
今ではめずらしい2クールにわたって流れます。
EDは、谷村新司さんが歌っています。どちらも一度聞くと耳に残ります。
音楽は菅野よう子さんが手がけます。後期のED月の繭はすばらしいです。
男性主人公に唯一、女性の声優が起用されたことをはじめ、
激しい戦闘シーンもこれまでのガンダム作品に比べ、あまりありません。
文明的にそれほど発展していない近世ごろの世界を舞台に、情景的な場面が非常に多く描かれています。昔見た、世界名作劇場的な感じをどこかで感じる人もいるのではないでしょうか。
機械人形(モビルスーツ)の動きやデザインもこれまでのイメージと違い、斬新です。感情を人間のように体で表す場面が多かったです。
また、女性が多く活躍する作品です。
月の世界に住む人間と地上に住む人間の対立の中でさまざまな立場や感情を描いていく様子は、時に切なく、時に美しく観る人の心に訴えます。
主人公は月側の人間でありながら、地上の人々のために戦います。「人の命を大切にしない人は誰とだって戦います」という強いセリフに心を揺さぶられました。
人間の理想といわれる、真・善・美がそこには描かれているような気がしてなりません。
物語最終回の様子については、いろいろ解釈がありそうですが、そこもこの作品が印象に残る理由だと思います。観た人の心に何かを残してくれるアニメです。
ガンダムシリーズ最後の非デジタル製作によるVTR映像のTVシリーズは、今だからこそ受け取れる珠玉のメッセージが詰まった、シリーズ史上、もっとも美しい物語のガンダムだと思いました。
当時の視聴率が3%というのも、考えると興味深いデータです。それが原因かどうかはわかりませんが、20周年記念作品にもかかわらず、今だにBD化されていません。
ユニバァァァス!
追記(2015年1月) 昨年やっとBD化されましたね。
ほんとに長かったです。
ファンタジーや物語を身近に感じられる場面がなくなってしまった現代人のためにもこの物語ができるだけたくさんの人に視聴されるように心から願っています。
思うに、牧歌的で封建的で貧しくとも豊かな眠りで生活を送れる世界は、少なくとも今の私にとって、とてもあこがれであり理想でもあります。
もし、適うなら、そのやさしい世界でディアナ様たちと年を重ねて行きたいです。
{/netabare}