シェリー さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.5
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
急転直下のファンタジー
祝福をくれた青年と突然の死別を迎えたあすな。
青年の弟シン。
妻を生き返らせるために動く森崎。
この3人がそれぞれにあるものを求め、なにかに導かれるままに「アガルダ」へ向かう。
観初めは平熱系アニメかなと思いきや突然ファンタジーまっしぐら!
ストーリーの展開が唐突だなーっとびっくりしました。
見事なものです。
神話をモチーフにした世界観で実にいろんなものが出てきます。
神やら化け物やら空飛ぶ船やらetc わくわくします!
新海誠さんご本人もおっしゃってる通りこの映画に押し付けがましいテーマはありません。
亡くなった人の影を追うことが目的のようにも思えますがそれは象徴的なものであって、
この映画はそれを背景に登場人物たちの善悪を問わない一生懸命に生き抜く姿が印象的に映し出される作品でした。
{netabare}
生命は大きな流れの中にある。
ケツァルトルによってその姿をとどめることなく
どんな形にもなり、みなの中で生き続ける。とても尊い生命観でした。
シュウとミーは橋渡しとしての役目をよくやり遂げてくれました。
でも決してシュウはそんなことを考えてきたのではありませんし、そんな簡素な記号的キャラではないと僕は思います。
彼がひとり世界の果てから発した声の行き着いた先があすなだった。
それはまるで風に運ばれた花粉があるべき場所へとゆっくりとまっすぐに舞い
優しく正確に、世界中の芸術家に印象づける美しい波紋を立てて落ちるように。
彼らはそういう誰もが経験できないような素敵な出逢いを果たしたのだと思います。
{/netabare}