STONE さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
明るいダークファンタジー
原作は未読。
かなり個性的と言うか、他作品には見られない独特の世界を持っているが、この個性が強い
ため、人を選ぶ作品でもあるかなあ。個人的には大好きな作品でしたが。
パステル風の色彩で可愛らしい感じの絵で、のどかで牧歌的な情景が描かれるが、既に人類の
文明は衰退しており、滅びへの道を進んでいく過程ゆえののどかで牧歌的というのがなんとも
皮肉で、時代背景を知ってしまうと、この「のどかで牧歌的」という部分もむしろ寂寥感を感じ
させるものになってしまう。
主人公である「わたし」と、これから地球の主となるであろう存在の妖精さん達との交流を
中心に話が進んでいくが、全体的に皮肉と風刺に満ちた乾いた笑いに包まれており、毒のある
大人の童話といった感じ。
狂気に満ちた童話という点では「不思議な国のアリス」を思い起こすし、現代社会や世相を
揶揄しているような毒の部分などは「モンティ・パイソン」に繋がる部分があり、そういう
意味では海外受けしそうな作品だなという印象。
主に「わたし」の独白で話が語られるが、この「わたし」も可愛い顔して、かなり口が悪く、
この作品の世界観にぴったり。もっとも口が悪いと言っても、これは独白ゆえの口の悪さで、
これぐらいのことは普通の人でも考えているんじゃないかと。
この「わたし」だが、一歩引いたような醒めた目で物事を見ているが、それでいて世をすねて
いるわけでもない。決して前向きではないが、時には損得抜きで行動してしまうところなど、
作品同様に他作品では見られない個性を持ったキャラだなと。
そして、妖精さん。可愛い容姿と声だが、話す内容は変に固かったり、それでいてちょっと
ずれていたり。このギャップがまた可愛らしい。
この妖精さん達が何者なのか、何故妖精さんが人類に取って代わったのかなどの、細かい
説明は一切なし。個人的には説明がない方が妖精さんがミステリアスに感じられて良かったの
だが。
この妖精さんが引き起こすことが、作品で描かれる多くの問題の元だったりするが、これは
人間のやっていることの楽しい部分だけを見て、模倣してしまうゆえに、それに伴う問題点を
まったく考慮していないことが大きいように思える。
ただ、実際の人間のやることだって、目先のことだけでその後のことを考えていないことが
多く、これ自体が人間のパロディのように思えるのですが・・・。
シリーズ構成的には時系列になっておらず、完全に逆ではないが、回を進むごとにむしろ
過去の話になっていく感じ。
そのためにちょっと判りにくい面もあるが、全体で大きなストーリーを追うような作品では
なく、過去の話の方が妖精さんの特徴がよく判るようなエピソードになっているため、回が進む
ごとに妖精さんの特徴が徐々に明らかになっていく、ミステリー的楽しみもあって、この順番は
演出としてはありかなと思う。