プラ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
観ておくべき作品
ロボットアニメはあまり好きじゃないので積極的に観ようとは思ってなかったけど、観てみるとそんなことはない。「人間」に主眼を置き、人間の尊厳を題材にいた良作。
時代的にはかなり遠い未来の話と思われる。「ヒディアーズ」と呼ばれる生命体を殲滅するため、宇宙を駆けながら戦闘する軍人のレドが時空の狭間に落ちて地球に不時着するところから物語は始まる。
地球~翠の星~に不時着してしまったレドと支援啓発機体であるチェインバーはガルガンティア船団に拾い上げられる。軍に救難信号を送るも反応がいっこうに返って来ず、レドはガルガンティア船団としばらく共にすることを選ぶ。ガルガンティア船団での日々を過ごしつつ、レドはこの星の人間たちの生き方を学んでいく。穏やかな海に囲まれ、人々の心の温かさに触れながら。
ある日、レドが漁に出ると敵であるヒディアーズのような生物に遭遇し殺してしまう。しかし、その生物は船団員たちが「クジライカ」と呼び神聖不可侵としているものであり、その禁忌を犯したレドは追及されることになる。ただ、そんなレドを見た宝発掘隊(?)のピニオンは、兄の果たせなかったクジライカの巣での探索という夢を実現させるため、ガルガンティア船団を離れて旅に出るのであった。
ピニオンとは目的は違うヒディアーズ殲滅という使命をもつレドはヒディアーズの巣の中心まで辿り着くが、そこで目にしたのはヒディアーズの正体。なんと、人間を遺伝子操作によって宇宙空間でも生き続けられるように進化した生命体だったのだ。
ヒディアーズは氷河期が迫る地球で生まれた。いずれ住めなくなる地球から脱しようと、禁忌とされていた遺伝子操作を行い宇宙空間でも過ごせるようになったヒトの進化体。しかし、その存在は"文明を棄てた人ならざるもの"として忌み嫌われ、そのことを巡って世界で戦争になるほどであった。
人間たち銀河同盟は"文明の集大成"である人型機動兵器「マシンキャリバー」とともに、"文明を棄てた異形生物"と闘っており、レドは少尉として戦闘に参加していた。その戦闘の最中時空の歪み(?)に巻き込まれて、レドはこの"翠星"へと漂流したわけだが、その地でヒディアーズの正体を知り、戦闘の意義を失いかける。
一方、ピニオンはレドの活躍によりお宝をたくさん手に入れることができ、他の船団を寄せ付けまいと、そのことを誇示し脅迫めいたことをしていた。
・・・・のだが、ある船団がピニオン一団の警告を無視し近づいてきた。その船団はなんだか宗教めいていて、アブナイ臭いのする一団だった・・・
ところが、その船団はなんとレドの上官・クーゲル中佐が率いていた。しかし、その統制システムは専制君主を頂点とするものであった。マシンキャリバーにより圧倒的力量差と恐怖を見せつけ、人々に畏怖の念を植え付けて支配していた。クーゲル中佐は、ヒディアーズという敵の存在を忘れ生ぬるい平和な日々を送っていた人々に、いざという時のために戦闘意識を想起させようとしていた。
レドは同志として、ピニオンは腕の立つ技術者としてクーゲル中佐率いる船団に招かれるが、二人とも船団の異様な雰囲気に違和感を覚えずにいた。レドはクーゲルからこの世界を変えようという申し入れをされるが、上司と言えど受け容れることはできなかった。
ガルガンティアで過ごした日々を思い返し、レドは決断する。クーゲルのやり方に異を唱え、闘うことになる。闘いの最中、レドは衝撃の事実に遭遇する。なんと、かのマシンキャリバーに乗っているはずのクーゲル中佐はミイラ化していた。本来はパイロット支援啓発としての役割をもっているはずのAIが暴走し、行動していたのだ。レドはガルガンティアを、この"翠星"を守るため、この暴走機体を排除するために闘う。そして、闘いの末に勝利する、チェインバーという大きな犠牲を払って・・・
レドは、ヒディアーズとの共生、そして、この地球においてガルガンティアの仲間たちと過ごす日々を守るという生き方を選択したのであった。