北山アキ さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
仲村さんが美少女である必要はない
原作は読んでない。
そもそも春日君からしたらラブストーリーじゃないから、中村さんはとびきりの美少女じゃなくてもいい。
(ヴィジュアル面でのサービスは視聴者のニーズであって、春日君のじゃない)
1話目での春日君は自意識を持て余し、 {netabare} 「悪の華」という形で表出させた鬱屈した少年として登場する。
2話目で、春日君は鬱屈した性欲を素直すぎる行動に移し、それを大それた罪のように大げさに懺悔する自分に陶酔する。
そこに仲村さんが現れ、他人の視線を意識したとたん罪よりも罰(社会的制裁とか)に怯え始め、「罪深い僕ごっこ」から引きずり出される。
3話目から、仲村さんは春日君の孤立した内的世界に(良くも悪くも)積極的にコンタクトしてくれる唯一の存在となる。秘密を晒されるかもという恐怖はあっても、秘密を知られるという恐怖は持たずに済む唯一の相手でもある。
佐伯さんはアイドルなので、一緒にいると春日君は自分の負の面に向き合わされる。だから付き合うことになっても安心感がないし、居心地が悪い。
7話までなんだかんだと春日君と仲村さんは表層より深い部分でのやり取りを続けた後、夜の教室に忍び込む。
ここで仲村さんは春日君を煽るが、春日君はなかなかふっきれない。でも、仲村さんが去ろうとしたら、春日君が引き止める。
「他の奴らと一緒」と言われたことも引き金になっているが、もっと問題なのはここで仲村さんがいなくなると、春日君は二人で膨らましてきた罪悪感を一人で背負い込まなくてはいけなくなるということだ。
なので「一人にしないで」と、仲村さんも実行犯に巻き込んで大暴れして、結果的に共犯関係を成立させた。(実は策士)
7話で春日君と仲村さんは依存関係を深め、8~10話と進み、佐伯さんの入り込む余地はなくなってゆく。
11~13話、警察に補導された後、春日君は自分の理解者となりえるのは仲村さんだけだという思い込みを深めるが、一方の仲村さんは春日君を無視するようになる。
ひとりぼっちになった状況に焦る春日君は、「仲村さんがこうなったのは自分のせいだ」から「仲村さんの殻を破って救い出せるホワイトナイトは自分だけだ」へと自分の立ち位置を反転させることで、世界をコペルニクス的に転回し、自分の存在意義を見出す。
つまり、一方的に仲村さんとの繋がりを取り戻し、孤立を解消する。(←これラスト)
と観ると、春日君は仲村さんからの愛情を望んではいないし、仲村さんを肉欲の対象と見てもいない。
春日君にラブストーリー的動機は弱い。
{/netabare}
ゆえに仲村さんが美少女である必要は無い。
アニメの感想
すごく面白かった。
身勝手な思い込みや依存の強要とかとぐろを巻く青い感情がよく表現されていた。