るぅるぅ さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
月下美人
西尾維新の時代小説作品。
物語は、12本の刀を巡る鑢七花と奇策士とがめの冒険活劇風に描かれている。
12本の刀に物語が持たせ各々が所持者する刀との因果にある生き方・死に方を結ぶエピローグは御伽噺のようにも感じさせる世界観を魅せている。
その中で活かされるキャラデザインもアンバランスでいて妙味な絵が巧く溶け込んでいる。
ストーリー展開も判り易く。
敵をどう攻略するか奇策士とがめの戦略 → 七花の戦術 によって刀を収集するといった基本的な流れで見せている。
バトルシーンもあるが短い尺で呆気ないが、七花ととがめの掛け合いを通して築かれる関係性を注視してゆくと楽しめる作品になると想う。それでもバトルシーンの爽快感はあるので良い配分だったと想う。
それも観る側として勝つ展開は予想の範疇で分かり、そこに西尾維新節とでも言えばいいのだろうか。あの独特の台詞回し、息もつかせぬテンポ、間の取り方が持ち味になっている。
化物語ほど癖はないので抵抗感は感じられないことも特徴になるだろう。
結末は賛否ありそうではあるが中盤から鍵を握る否定姫の職務における立ち位置・行動の意図を考えると終盤への幕引きは若干粗さもあるモノの見応えは充分あるだろう。
不満・感想{netabare}
不満は、真庭忍軍の鳳凰と左右田 右衛門左衛門の過去の確執があれば、カッコイイ悪役エピローグもあれば申し分なかったぐらいですね。
そうなると錆 白兵のバトルも予告ダイジェスト切りで残念でしたが、そこは七実の無双キャラと死を求めるエピローグが重要だったりで仕方ないなと感じましたねw
最終話12本刀を破壊する七花の姿を観ていると刀とは使う者の志あってその真価がでるのだろう。
それは人の信念を示すが、復讐を成就させるストーリーとしては描かれることは出来ず死に方として末路を見せる。
とがめの死も必要な演出であって憤りに似た想いも込み上げってくるが歩みを止めることはできない人生になっていたの表れになっていた。 それでも七花に出会え儚い夢とも恋できたことが唯一の幸せになったのだろう。
そして否定姫の職務上、幕府にとって反乱分子であるとがめを殺さなければならない心情をもう少し見せて欲しかったが、深く語るほど薄まる言葉より語らない否定が彼女の気持ちなのかもしれない。
「あの不愉快な女ね、嫌いじゃなく、なくもなかったわね。」
喪失感と得難い気持ちを募らせる想いが作品の味といえる。
{/netabare}