disaruto さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
「侵略するでゲソ!!」
制作はProduction I.Gのオリジナルアニメです。
ジャンルはSFロボットです。
少年兵士レドが遭難してたどり着いた地球で、ガルガンティア船団で生活する少女エイミーと出会う。
彼女とその仲間たちとの交流で、レドがどのように成長していくかを描く。
後に自分の戦いに関する秘密を知って…。
まず作画については途中ちょいちょいまずいところがありましたが、概ね高水準でした。
ロボットの動きに迫力があり、翠星というだけあって自然描写が秀逸でした。
美しかったですね。
キャラクターについてはヒロインのエイミーはなかなか魅力的なキャラでした。
あとチェインバー、ベローズ、ピ二オン、リジッドあたりも印象に残っています。
でも、やっぱりキャラが多すぎたような気がしますね。
1クールで捌くのは無理がありました。
終盤の展開で必要性のない人がやたら多くなってしまったのは残念ではあります。
あと、女性キャラがなんかエロいw
ストーリーについて。
前半はボーイ・ミーツ・ガール的な展開をしています。
「対話」と「異文化交流」を中心にして物語が進みます。
後半は虚淵さんお得意のシリアス展開をしています。
「善悪の葛藤」と「共存共栄」を中心にして物語が進みます。
私が知っている作品で言えば前半は「ARIA」、後半は「PSYCHO-PASS」「新世界より」という感じです。
前半は住民との対話を通じて、レドの今までの考え方の提示とその誤りが指摘されます。
徐々に彼の偏った合理的・効率的な考え方が徐々に変化していきます。
会話最中の言葉にも、後半への伏線が含まれています。
後半はヒディアーズの真実を知り、彼の決断が迫られます。
ここに関しては議論の余地がありますね。
以下考察。
{netabare}この話の肝は、「兵士として生きてきたレドがヒディアーズの真実を知って、どういう行動をとるか」にあると思います。
これの関連で私が主に気になった点は以下二点です。
①レドの心情変化について
②戦争はどうした?
①について。
普通に鑑賞していると、どうもレドの考え方が良いように動いているように感じます。
当初見たときはそう感じた。
しかし、ちゃんと見ればとりあえず理由付けはできます。
ちゃんと見ないとわからないのはまずいような気がしますがw
“ヒディアーズは敵だから殺す→ヒディアーズは人間だった→ヒディアーズは殺せない”
お前兵士なんだからそこは殺せよって話に一見したらなります。戦争しているのだから。
ですが、ガルガンティア船団でエイミー、ベローズ、べベル、オルダムと共存共栄の話をして自分の偏見性を知ったり、自分がどのように動けば争いがなくなるか、みんなの役に立つかという模索が序盤から中盤でなされています。
これら行為の中で、共存共栄の大切さを多少なりとも知った。
そうすると、レドの中で完全な合理主義・効率主義をとっており、非人道的な銀河同盟の思考に疑問が生じるというのは見て取れる。
自分の弟が殺されているし。
だから最後にクーゲルのやり方に反逆したということでしょう。
(ついでに前者三人の話の中にはヒディアーズのことについての伏線もありました)
そして、レドはガルガンティア船団を守るためにストライカーと戦いますよね。
最初は、ヒディアーズを殺す>ガルガンティア船団で平和に暮らす、だった。
でも真実を知って不等号が逆になったわけです。
自分に共存共栄を教えてくれた人たち(特にエイミー)のために戦った。
エイミーへの心理描写が当初見たとき甘いなと思いましたが、見返してみたら納得できる程度にはフォローされていました。
以上から、レドの行動には蓋然性があったと個人的には納得しました。
なんだか数学の証明みたいになってしまいましたw
②について。
これについては放り投げちゃいましたねw
どうなったのだか良く分からない。
この戦争に答えを出すこと自体無理なのは重々承知ですが、なんかしらの経過は見たかった。
レドがガルガンティア船団で暮らすことになったらまあ関係のないことですから描く必要ないじゃんという判断でしょうか。
これはあんまり納得がいかない。{/netabare}
総括して、割と突っ込みどころが多い作品です。
前半のボーイ・ミーツ・ガール的な展開をもっと引っ張り、異文化交流を広げて、無駄に戦闘シーン入れないほうが良かったように感じます。
極論を言えば、ロボットいらなかったかも。
ですが、個人的には自分の中でテーマだと思っていたことへの道筋はできていたのでまあ良しとしましょう。
どうしても長くなってしまうSFロボット系をよく1クールでまとめたと思います。