ハト さんの感想・評価
2.1
物語 : 1.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 2.5
キャラ : 1.0
状態:観終わった
視聴者をバカにしてるアニメ作品
天下のサンライズが贈る、ロボットアニメ。
世界観は、人類がコロニーで自給自足できるレベルまで科学が発達し、宇宙にその生活圏を進めるようになった未来。強大な二国間がにらみ合う中、間に挟まれた中立を宣言している国など、かつての日本をとりまく、アメリカとソ連の冷戦構造をモチーフにしている。この発想自体は良い設定ですし、本作が革命と謳っているので、権力構造などを変えるものとしても、マッチしている設定だと思います。
メカニックデザインはまさに今風のデザインという感じがし、兵器っぽくない色合い、装飾になっている。武装もまったく兵器というより、玩具っぽいものが多く感じます。兵器として運用していることよりも見た目重視で作っていった感があります。また操縦者にはオカルト的な属性が付与されるのは面白い試みであり非常に良いです。この辺は賛否別れる部分だと思います。根っからのロボ好きではナニコレとなりますし、そうでない人にとってはイイネという風になると思います。
メカアクションはエフェクトや見た目もあってか、綺麗でスタイリッシュな戦闘という印象を受けます。しかし、戦闘をしているというより、演舞を見ている感じであり、兵器で戦争をしているということが感じることができません。せっかく異なった武装のロボットが複数あるのに、ロボットによる連携もあまりなく、とにかく各機のかっこよさだけを魅せるように感じるのもまた賛否が別れるところです。
ただこの作品の致命的な部分は、上記の世界観に含まれた政治や軍事、またメカニックを含めたSF的説得性が皆無だという点です。いわゆる世界観考証、軍事考証、SF考証がまったくされておらず、全ての展開にまったく納得できる部分がありません。
明らかに奇抜なデザインや、変わってる設定は最初は「なにコレ」と思われても、しっかりと考証され、話の中で説得されていけば、逆に視聴者は納得してカタルシスとなり素晴らしく活きる要素になりますが、それらがまったく無いのでただただ意味不明な展開になっています。
挙げればキリがありませんが、
・なぜこのような世界情勢になっているのか。
・各勢力の戦略。
・各国の国内の様子や、子供達の親や家族の様子。
・コロニーの設定や発進ドックの設定。
・科学技術のレベル。
・ロボットの強さの度合い。
・アンパンマンみたいに毎度毎度攻めては撃退の繰り返し。
など。
特に"革命"というのがキーワードであり、世界の権力構造や世界情勢にメスが入っていくようなのがテーマになっているのに、国や政治、世界情勢、軍事の描き方が稚拙すぎであり、まるで子供の絵空事のようなレベルになっているは致命的だと思います。
キャラクターは主人公側には今時の若者を中心に置き、大人の存在が極端に少なくなっており、逆に敵対するのが大人という、ぼくらの七日間戦争のような構図になっています。
各キャラクターの心情表現も非常に稚拙で、行動動機が矛盾していたり、描写不足になっていたりと、キャラクターに一貫性がありません。
またなぜか死に対する嘆きや恐怖や絶望がキャラクターから感じることなく描かれており、今まで恒久的な平和が完全に脅かされたという事実が、まるでなかったかのように振舞われている反面、メインキャラクターの1人が死ぬと盛大に悲しんだり、思い悩んだりと非常に登場キャラクターに違和感を感じて、感情移入ができません。
このようなキャラクター達は今の若者像を表していたり、日本という国の現状を表していたりと見て取れるのですが、流石にそれは作り手のかなり歪んだ考えに思えます。
友人や身近な人が数千人規模で死亡し、今まで生活の場が消失した現実をつきつけられても、のほほんとしているほど若者はバカじゃありません。
ストーリーによる積み重ねはあまり意味をなさず、引きや超展開で話題性を引っ張っていけば話の整合性や山場のカタルシスの為の準備期間はまったく必要ないという考えがあざとく見えます。また1クールでほとんど何も解決せず、投げっぱなしで2クール目に待つ状態になってしまっています。
例えこの都合の良いストーリー展開や中途半端設定な部分を全て説得できるだけの展開が今後待っていたとしても、積み重ねがあまり無いこの作品にはもう視聴者はそれで納得できるとは思えません。
視聴者はこのぶっ飛んだ話を納得できるほど、そんなにバカではありません。
1クール評