ハト さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
感情移入ですべてが決まるアニメ。
地球暦2110年。宇宙に進出した人類と謎の宇宙人勢力ウルガルとの初めての宇宙戦争が開戦。遺伝子操作によって作られた兵士達の戦争のある日常の中で人としての成長を描くSFロボットアニメ。
世界観は宇宙戦争モノ、遺伝子モノといった手垢の付いた設定ではありますが、そこにマジェプリならではのバラバラな性格の戦隊ヒーローという部分をミックスしているのがまず面白いと思います。
これにより、シリアスとコメディー、しっかり考証されたSF部分とある意味のお約束のご都合展開のバランスがとても良く、安定して飽きにくいものになっている印象です。
メカニックデザインもスタイリッシュだけではなく、機能性重視の朴訥なスタイルでもあり、いわゆるダサカッコイイデザインになっています。また兵器として運用している時に生える、ギミックにもこだわって作られてると感じます。
逆に敵のロボットのデザインは、特撮ヒーロー物のお約束でもある生体兵器的なデザインになっており、どろどろとした得体の知れない感がよく出てますし、人類側との対比も面白い。
登場するキャラクターは皆一癖も二癖もある性格のキャラクターばかりで、このへんに関しても見ていて飽きにくいと感じました。メインの5人を取り囲む大人達も大人として弱い部分もあるが、それでもきっちりするときはするギャップをしっかり描き、メインの5人と視聴者に安心感を与える存在になっています。
メカアクションはこの作品の大きなウリの1つ。こちらも素晴らしく「このスタッフは分かってる!」という部分もしっかり入れてくれています。
ロボット物でよくある、ロボの攻撃のアップ→発射→弾道シーン→着弾or避けるロボットアップの繰り返しの戦闘ではなく、それらも入れつつ、チームワークでの空間戦闘的な戦闘描写が多いことです。
例を挙げますと、
ブルー1(近接特化)とローズ3(遊撃機)の連携です。
ブルー1が敵を1機2機と切って、3機目と剣をまじあわせた後に蹴り飛ばします。それを補給が終わったローズ3がバリアを張って敵ごと奥に突っ込んでんで行きます。カットはブルー1アップなのですが、奥でビームを撃ってなぎ払っているのが見えます。こういった一連のシーケンスがすごくロボット戦闘っぽさを出しています。
また順番に補給をし、戻ってくるまでのシーケンス、戦線移動のシーン。遅い戦艦をブーストを吹かしながら縫うように移動するシーンなど、ロボット戦闘ファンの心をとにかくくすぐります。
そして兵士の日常を描く部分はここでもしっかり現れており、戦闘中も四六時中緊張してるわけではなく、余裕がある時は軽口も言うし、コメディーも普通に入る。緊張しているシーンでは、表情もシリアスに、言葉の掛け合いも興奮している言い回しになっています。アホキャラのタマキでさえ、少し興奮している顔つきになっているんですね。
しっかりと考証された軍事・ロボット描写の中で、戦闘や作戦、演習が当たり前にある、ありのままの兵士が描かれています。
もう1つはお約束です。特撮ヒーロー物によくあるお約束の良い意味でのご都合が上手く盛り込まれています。このへんは賛否ありますが、特撮ヒーロー要素と分かれば合点がいくって感じがします。
・活躍させるときはとことんさせて、周りはあまり手を出さない(1話のレッド5、アンジュの初戦闘)。
・一騎打ちシーン(8話)。
・発艦までのシーケンス(特撮の変身、バンクとしても優秀)。
・敵にセクシー女キャラ。
などです。
マジェプリは最近のアニメのような強烈な引きやぶっとんだ展開で話題性を引っ張る物ではなく、地味にかつ着実に積み上げていくタイプになっています。1~6話までの心情表現などはしっかり尺を取って描写しており、その分感情移入が素晴らしく、出てくるキャラ皆好きになっていきます。不幸な境遇でそれぞれザンネンな部分があるメインキャラ達だけど、ポジティブに成長していく部分に共感し、応援していける作品になっています。
逆にストーリー的は起伏が少なく着実に進んでいくタイプなので、1~6話でメインの5人を保護者の目線で応援できるようになるかそうでないかで、その後の話の印象が大きく変わっていきます。できていないのなら、やっていることが全て茶番に見え、全て寒くみえます。
感情移入できれば、マジェプリは上記のような設定やメカニックは素晴らしいので文句無く楽しめる作品になります。
1クール評