ほったっる さんの感想・評価
3.8
物語 : 2.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
衝撃の最終回。あの最後に視聴者は何を思うか。
39話、クールにすると3クールの長編アニメです。
幼いころに両親を亡くした少女が絶望の淵から救い出してくれた王子様に憧れ、自分も王子様を目指してしまうという、アニメの初回でよく提示されるあらすじだけをごくごく簡単に紹介すればテンプレ少女漫画的な内容と言えます。
ところがいざ物語が始まると、少女漫画的内容から一転、主人公に対抗する登場人物と剣を交えて決闘を行うというテンプレ少年漫画的な展開になっていきます。
さらに物語が進むにつれて、伏線臭がプンプンするようなワードが出てきます。
薔薇の花嫁、ディオスの力、世界の果て、世界を革命する力、永遠を手にする・・・
物語も後半になり、その伏線が回収されるかと思えば、明確にされることはなく、謎が深まるばかり・・・
そしてあの最終回・・・
いくつもの解説が出現し、放映後10数年たった今でも議論されるほど一辺倒には理解しがたいような内容のアニメになっております。
私自身もこのアニメの重要な点について理解できている部分はかなり少ないでしょう。わかったようで、いまいち腑に落ちない釈然としない思いがあります。
元々、このアニメを視聴するきっかけというのがOPが好きだからという単純な理由だったので、余計に困惑してしまいました。
そういった点を踏まえ、物語が完全に理解できなかったという意味で、物語の評価については若干低めにさせていただきました。
もちろん常に不可解な内容を展開しているわけではなく、ギャグ回も多いです。象がサーフィンしたりします。
登場人物が魅力的なのも本作品の特徴でしょう。
男のようにサバサバしているが、最も女の子らしいとも言える主人公天上ウテナ。
天然ボケを全面に出しながらも、どこかミステリアスな姫宮アンシー。
生徒会の面々が一話、あるいは数話完結の形でクローズアップされていくのも本作品の見どころです。
演出についてはおもしろい部分が数多く見られました。
最たる例が、毎話登場してくる影絵の少女たちでしょう。
毎回その話に関連する寸劇を見せてくれます。
それ以外にも、テラスのある生徒会室で野球が急に始まったり、踏切が突如出現したり、いくつもの椅子が現れたり、男二人が話しながらチャリをこいでいたりと・・・。
少し奇妙でおかしな超現実的な演出が目立ちました。
またそれらの超現実的な演出に対して、普段真面目な登場人物が冷静にツッコミを入れる箇所があるのも作品の見所と言えます。
あとなぜか物語が後半にいくにつれ、イケメンキャラクターの露出が増えているのがなんか笑えました。
音楽についてはかなり秀逸だと思います。
私が観るきっかけとなったOPはさることながら、決闘の際には毎回違う合唱曲が流されるなど、気合が入っております。
作画はいかにもベルばらっぽい感じになっておりますが、決闘のシーンやOPにも見られるような崩壊シーンは圧巻です。
考察が必要なアニメが好きという方には一見の価値があるアニメだと思います。ぜひ、ご覧ください。