ヒロトシ さんの感想・評価

3.8
物語 : 1.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

二次作品の難しさ

1stのレビューを久しぶりに読んで見たんですが、物語の内容とか全然書いてなくて、銃の事しか書いてなかった件について反省しております。ですので、作品の評価として、ここで1stと2ndと纏めて総評なんぞを書いてみたいかなと思います。

第五次聖杯戦争の前日譚として描かれた作品ですが、細かい部分で矛盾があったりするので、純粋に虚淵氏による別作品として認識しても問題ないですね。前日譚の役割として、大きな齟齬がない感じに纏めていたのは、評価しても良いかなと思います。アニメでは「時間」という制約がつくわけですから、どこをピックアップするかという作業が難しいのですが、これに関しても、原作の見所を支障のない範囲でスポイル出来ていたのは、好印象です。

ただ、言いたい所もありまして

映像の美しさ、戦闘の構図が素晴らしいので、錯覚しがちですが、話自体は驚きも何もなく、全て予定調和若しくは展開が予想出来る「新鮮味の無さ」というのが痛かったかな～と。

原作とか前作に触れている人は致し方ないですが、未見の人でも展開予想を想像できる余地はあったでしょう。そもそもキャラ造詣が視聴者に悟られ易いから、「あ、コイツ絶対裏切るわー」→「やっぱりー」とか分かり易いってのは、B級映画を感じさせます。

B級は分かり易いというかチープな面白さが一種のウリですからいいんです。ただ、Fate／Zero」ってそういう作品じゃないですよね。

過去の英霊が呼び出されて、「聖杯」を求める為に入り乱れて戦う設定で、予想されやすいのを作ってしまうのは失敗でしょう。バトルロイヤルものって、視聴者を驚愕させるような展開をぶっこんでいかないと面白くないんですよ。皆が驚いたのって、過激なグロ表現とか映像の美しさとか、所謂ストーリーの本筋には直接は関係ない部分とかが中心であったと思います。

そういう意味では、ステイナイトの設定を踏襲した上で、二次作品として成立させるに辺り、整合性を意識しなくてはいけなかったというのが、結果的にハードルが高くなってしまって、綻びが出てしまったという事でしょう。前日譚という制約がなくて、外伝的な感じであれば、自由に面白く作れたんじゃ？という想いは少なからずあります。冬木市舞台に固執せんでも、別の土地でやるとかね。

もっと気楽にステイナイトを破壊できなかったのかな～というのが残念な所。まあ、原作が虚淵主導のシリーズではないですから、奈須きのこに配慮というのは、やっぱり意識しないといけなかったのでしょう。正直アニメもその割を食ってしまった感はありますよね。

後、流れが極端なのも気になりました。会話シーンが長すぎィ！！とか思った人結構多いんじゃないですか？ キャラが会話しているだけ～と視聴者に退屈さを感じさせてしまうのは「やってはいけない」事なんですよ。会話シーンでも面白い！とか捻ってあるなあ！とか視聴者を満足させる工夫をしないと。

淡々と作品の設定を視聴者に説明してあげてるような、機械的な感じがどうにも最後まで拭えませんでしたね。会話している相手が視聴者を意識しすぎているのは、マイナスです。

まあ、文句は書きましたが、全体的に見れば、面白い作品である事は間違いなかったですよ。ただ手放しで褒めたりとか、未見の人にオススメ！という意味では同意しかねます。意外に門戸広いようで狭いアニメかなと思いますね。細かい部分が気になる人とかは、見ていて色々ストレス溜まるかなと。

余談ですが、川澄セイバー、私の中では未だに違和感が…w

ああいう凛々しい役を演じているというのが、どうにも僕の中の川澄さんのイメージに合わないのです。こればっかりは好みの問題ですので、反論されても「はあ、そうなんですか」としか言いようがないんですが。

誰がいいんだよ！と聞かれれば、「かわしまりの」かなw