「たまゆら(OVA)」

総合得点
71.4
感想・評価
703
棚に入れた
3056
ランキング
1357
★★★★☆ 3.9 (703)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

ギータ さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

これが1期で~hitotose~が2期でもいいくらいの完成度です

ニコニコ一挙放送で~hitotose~の前に視聴しました。実際に放送されたのもこのOVAの方が先のようですね。

見ていてすごく心地が良いです。
友達とのやり取り、空気感、写真家の志保美さんとの対面、プチ秘境探検などなど、キャラクターの嬉しさ、楽しさが伝わってきて、~hitotose~同様にすごく温かい空気感でした。

シリーズを通してのこのアニメの主題として夢が挙げられます。
このOVAはその夢についてと、ぽってが撮った、たまゆら(写真に写る光のたま)が映っているお父さんの写真についての2つが中心で進んでいきます。



①ぽってのお父さんについて
 ぽってのお父さんは既に亡くなっています。
 ぽってはそれを引きずって悲しいままだったのですが、楽しかった思い出まで悲しいものにしたくないということで立ち直ったんですよね。
 悲しい出来事に正面から向き合い、これからもっと楽しいことを増やしていこうと決意したぽって。止まっていた物語が動き出したのです。
 OVAでは、お父さんの写真を撮った場所を探しています。プチ秘境探検という名で(笑)

一番印象的な第4話について掘り下げて感想を書きます。
{netabare}・ここがあの写真の場所かどうか分からないけど…
 香ちゃんの絵の岩と思っていたものがお父さんの背中だったと分かった瞬間、あの写真の場所よりも大切なものに気付いたのでしょう。
 写真を通してお父さんに会うことができた、直接会うことはできなくても、写真に写っているお父さんの心は変わらない。また一歩ぽってが前に進めた瞬間かなと思います。
 そして、お父さんの写真によって真音やのりえと友達になれた、かおると再開できた、写真の場所を探したことによってみんなで朝日山に登れた、お父さんの残してくれたものが今の自分を形作っている、これがぽってにとって嬉しかったのだと思います。
香「やったね楓ちゃん!お父さんに会えたね!」
楓「うん、会えたね!“みんな”と一緒に!」

やっぱり温かいアニメだなぁとしみじみ…{/netabare}



②夢について
 OVA2話がまさに夢についての主張で凝縮されたような話です。
・趣味が夢に変わる瞬間
{netabare}「ぽってさぁ、本気で写真家を目指してみてもいいんじゃない」
 かおるの発言です。そこまで好きなことがあるって羨ましい、思い切って前進してみてもいいんじゃないということでした。
 趣味と職業の夢っていくら好きでも繋げるのって結構難しいというか、勇気も覚悟もいることだと思うんですよね。
 写真が好きなぽってとはいえ、二つ返事で「うん!なる!」とは流石に言わないですよね。このことに関しては、志保美さんとの出会いでうまくまとめてますよね。

 蛇足ですが、この状況に少し似ている私の好きな歌の歌詞をのせておきます。私surfaceマジで好きなんですよ(笑)
{netabare}
想像するだけで胸が苦しいことなんて
きっと人生でも2,3回下手すりゃ1度もないかもしれない
だから諦めるなんてありえないことだって
何も言わないで無理って決めちゃう君そこに正座          surface「そこに正座」{/netabare}{/netabare}


・行き先のないきっぷ
{netabare} やりたいことが決まっているような決まっていないような、まさにそういう感じのぽって。
 でも、今はまだその状態でいい、いつかは行き先を決めなくちゃいけないけど、それまでは無限の可能性を追い求めてもいいとのことでした。
 ぽってもそのことに理解して、今はふわふわな夢でもいい、やりたいことをしよう、写真を撮り続けようと思ったんじゃないでしょうか。
 イイハナシダナー。道徳の授業の教材に使いたい(笑)

「ふわふわしててはっきりしないけど、考えると楽しくて嬉しくなる  夢とたまゆらって似ているなぁ」
OVA2話、最後のシーンのぽってのセリフです。何かがふっきれた、悩みを楽しいものに変えられたとでも言いましょうか。{/netabare}


・第4話、および~hitotose~の主要人物の夢について
{netabare} 4話でぽってが志保美さんと対面しているところを見て、のりえも刺激を受けたようですね。ぽってが前に進んでいるんだから、自分ももっと前へ“もあぐれっしぶ”にみたいな。2話の時点では“やってみようかなー”という感じでしたが、4話で“やりたい!やる!”になりましたね。
 麻音はOVAではほとんど触れられないため、本編では主役といってもいいくらいの扱いでしたね。相手に何か伝えるのは苦手でも、自分には正直ですよね。好きなものは好き、やりたいことをやりたい、1つに絞らずにやりたいことから目を背けないというように。麻音には行き先のないきっぷを渡さなくても大丈夫な気がします。まぁずっとこのままだったら不安ですが(笑)
 かおるもポプリ作りという趣味を持っていますが、他の3人よりは夢中になれない、ずっと続けていくかは分からないという感じでしたね。4人の中でもアネゴ的な、グループを支えているような存在ですが、それと性格も合わさって、気をつかい、どんどん空回りしていきましたね。そういうまだやりたいかはっきりしないかおるだからこそ、自分たち展の提案は意味があっていいなぁと思いました。自分がどれだけ夢中になれるか、今後続ける続けないにしても、今できることをしておきたい、みんなと何かやりたいという、かおるの悩みと性格と、みんなを大切に思う気持ちが生み出した提案だと思いました。{/netabare}



 このOVAだけでも結構な完成度ですが、~hitotose~を見る限りでは、本編を楽しく見るための補足になるものといってもいいくらいなんですよね。
 実際、~hitotose~のストーリーは尺もあるぶん素晴らしいです。
 たまゆらを見る場合は、OVAと~hitotose~をセットに、そして、今はなんと“もあぐれっしぶ”もついてくるためお買い得です!(笑)
 レビューを見る限りでは、視聴者はそんなに多くなさそうなので、2期を機会に多くの人に見てもらいたいなぁと思います。

投稿 : 2013/07/03
閲覧 : 433
サンキュー:

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