catcher さんの感想・評価
4.2
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
テーマを絞り丁寧な描写。間違いなく良作。
アニメオリジナル作品。
{netabare} この物語、色々な要素がありテーマが分かりにくい部分もあるが、私の考えはこうである。
『人間の美徳は思考することが出来ることである。』
主人公レドは人類銀河同盟を妄信し、自ら思考することを放棄、ヒディアーズを倒すことのみを目的とした人生を送った。
ヒディアーズとの戦闘の最中、レドは地球に飛ばされ人類銀河同盟に帰ることが出来なくなる。自分よりも遥かに劣る文明で、しかし生き生きと暮らす人々に出会い、次第に感化されていく。
この際、レドが戸惑いながらもガルガンティアでの生活に馴染んでいく様子、船団の人々が生き生きと働いている様子がとても丁寧に描かれている。
船団の人たちの生き方、エイミーやベベルの考え方1つ1つがレドに対し大きな影響を与えていることが良く分かる。
次第にガルガンティアでの暮らしにも慣れてくるがそこに『クジライカ』のご登場である。
このクジライカ、太陽が無くなっても生き残れるよう人類が自らを変化させた姿だそうで、レドが闘っていたヒディアーズそのものだった。
本作では思考することが出来なくなったこの生き物を『元人間』と揶揄している。
事実を知り、迷いの生じるレドは偶然にも元上司のクーゲル中佐と再会する。クーゲル率いる船団は恐怖によって支配、統制されており、そこには一切人の思考が無かった。人々はクーゲルを妄信していた。それこそ人類銀河同盟のように。
しかもクーゲルは既に死んでおり、彼のマシンキャリバーが神としてそこに君臨していた。
そこにいる人々、人類銀河同盟にいたころの自分を重ね合わせ、レドは自分がいかに勿体無い生き方をしてきたか悟る。
そしてそんな支配からガルガンティアの人たちを守ろうとレドは奮闘する。
戦いの最中、エイミーを見てもう一度会いたいと涙を流す。
結局チェインバーのロマン溢れる判断でレドは生き残るわけだがww
最終的に、レドはガルガンティアで生きていくことを自分で選ぶ。
作品として実にロマン溢れる良作だった。
音楽、作画も高いレベルに収まっていたし、声優も豪華。その豪華声優陣にあって新人の石川さんも見劣りしなかった。むしろ徐々に言語を理解していくレドを上手く表現できていた。
以下、蛇足。
この作品は実に現代社会を想起させる。
①人類銀河同盟を妄信し、思考放棄しているレド
現代社会における社畜。私ここ。生活のために葛藤や疑問を振り払い、ひたすら会社の命令を聞き続ける姿は正にこれ。
②ガルガンティアに暮らす人々
海の上という決して決して楽ではない環境下でそれでも幸せな暮らしぶりが描かれている。これは現代社会でいうリア充。やりがいを持って働いている人や子育てに追われながらも充実した日々を送る人々を指す。社畜にはリア充が眩しく見えて当然。
③最終回のレド
脱サラして充実した日々を送り始めた人。この境地にたどり着ける人間はほんの一握り。
やはり現実はアニメと違い、思考停止して過ごしたほうが無難という教訓。{/netabare}