チョビ髭 さんの感想・評価
3.1
物語 : 5.0
作画 : 2.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 1.5
状態:観終わった
やる気無いならてぇ挙げんな
原作既読からアニメ視聴
目が縦型で少女漫画的美麗なキャラ絵。このデザインはボノボ薔薇展開を意識したものだと一見して目に付くレベルで、ある種の媚びを感じる作品です。
貴志祐介氏はサスペンス色のリアルホラーが持ち味でこれまで実写映像化してきましたがSF設定の作品という点からアニメ化されたと通常なら感じるはず。しかしこの監督は何を血迷ったかボノボメインで世界観のデザインを仕始めたのです。
いやそもそもA-1 Picturesに誰がこの仕事を頼むことを決定したのか。小説からアニメ化の経験もホラーの経験もない会社に。ましてや監督業に熟れない石浜真史氏を据えるなんて・・・そのことの方が大きな問題かもしれません。
異能力、異生物が登場し文明もそれを受容して1000年経過。ここまで大がかりなファンタジーは滅多にありません。
異能力でいえばアキラ、異生物でいえばナウシカ(漫画は異能力も有)、文明という面では・・・オネアミスかなぁ。それらが全て内包された世界観、めちゃめちゃ大変でしょうが見せ場も大いに有る原作だった訳です。
私にはアニメオリジナルと呼べるのはEDと飛行物体が出す音「ヒユーイ」ぐらいかといった印象です。
スクィーラはガチャピン、ミノシロモドキはロディ。何かに着眼することを批判するつもりありませんが、ちょっと近すぎと思いますし、建物は古典建造物に曲線を加えただけ、八丁標(はっちょうじめ)という呪力の要素を強く受ける特別な結界も既存の注連縄(しめなわ)のまんまと重なってくると発想力がry
呪力の表現はまさしく噴飯もの。30年も前のアキラに遠く及ばず「ヒユーイ」「ヒユーイ」と挿入音に頼る無様さでした。
監督に言いたい、あんたが考えるべきだったのはボノボ展開ではなくSFの描写、演出表現だったと。
この作品の優先要素の順位をしっかり考えていたのかと。
バケネズミの骨格は?戦闘時の装備は?業魔の間の表現は?
酷評しましたが中身のストーリーは秀逸です。2008年 第29回日本SF大賞受賞、 同作品で翌年には吉川英治文学新人賞候補にもなっています。
あの分量の活字を25話に渡って破綻しない(脳内補填できる状態でしたので保証は出来ません)ようできる限り無難にリードした、そこを評価する方もいるかもしれません。
しかし私はアニメ化の魅力を如何に発揮した意欲ある荒削りな、もしかしたら脚足らず感が漂うような、そんな出来の方がよっぽど監督として大成を期待できたと思います。
今期はまった悪の華と比べると意欲もさらに原作への愛だって劣っている、そう感じてしまいました。
貴志祐介作品
十三番目の人格 ISOLA(1996年) ●既読
黒い家(1997年)
天使の囀り(1998年) ●既読
クリムゾンの迷宮(1999年)
青の炎(1999年)
硝子のハンマー(2004年)
狐火の家(2008年)
新世界より(2008年) ●既読
悪の教典(2010年) ●既読
ダークゾーン(2011年)
鍵のかかった部屋(2011年)