りゅうじん さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「本物」とは何か
SFを小学生の日常に取り込む設定。
07年とは思えない映像クオリティ。
これらは今でも新鮮で、突出している。
しかしそれら以上に強く印象に残るのは、この作品が示したメッセージだ。
「本物」とは何か?
既にARなどの技術が開発され、電脳コイルの世界に近づきつつある中で、現実世界でも当然出てくるであろうこの「問い」。
{netabare}
作品中で大人達は、「触れられるものこそが本物」とし、電脳世界を否定した。
子供達(ヤサコ)は、その考えを認めながらも、もう一つの答えを出した。
「そこに「ある」と感じる「心」も本物」。
「何か」に関わって、そこから様々な感情を得たとき、それが存在しているものかどうかに関わらず、その「何か」はすでに自分にとって「本物」なのだ。
このアニメだってそうだが、小説や、映画などの空想作品が創られるのも、人間がそこに描かれている世界を一時的にでも「本物」と感じることが出来るから、と言える。
電脳世界も同じ事であり、人間は、そういう感性を持っている。そこがネット世界や拡張現実を考えていく上での一つのキーになっている事は間違いない。
{/netabare}
この作品は大人達の考えを否定していないのが凄いところで、科学の発展の中での認識というものについて選択肢を提示した、様々な意味で深い作品である。