ヌンサ さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
野球アニメの頂点
僕の中での"優れたアニメの条件"には、「各カット内における主要人物以外が、いかに動いているか」というものがあります。別の言い方をすれば「画面の端にいるキャラクターが"生きている"かどうか」というものです。
しかし、ほとんどのアニメ作品の"端にいるキャラクター"は、残念ながら微動だにしていません。予算や時間などのことを考えれば仕方のないことなのかもしれませんが、この作品ではそのようなことは一切ありません。他のアニメのスタッフからしたら、「魔法か何かか?」と思うほどのクオリティかもしれません。このクオリティを維持できるのも、水島努監督の人望と情熱が全スタッフに伝わっているからでしょう。
投球動作からボールの見逃し方、一球ごとにおけるランナーの挙動から中継の内野手の動きまで驚くほどリアルに作画されています。他の野球アニメではことごとく省略されている描写ばかりなので、全く信じられません。第1話から最終話まで、手を抜いた絵がひとつもありません。
原作の強さももちろんありますが、キャラクターの心理状態が手に取るように伝わる脚本や演出、漫画では描きたくても描けない練習や授業風景の長い描写・・・原作の面白さを損なうどころか、何倍にも膨らますことができていて感激です(他のアニメ作品のような、尺かせぎの描写になっていないのです)。
もちろん野球のことをあまり知らなくても楽しむことはできるのですが、野球の細かい動きの難しさを知ったうえで視聴すると、改めて作画のすさまじさに気が付くことができるかもしれません。
見ていると、序盤から早くも涙が出てしまっていけませんな(笑)。