「神様ドォルズ(TVアニメ動画)」

総合得点
71.9
感想・評価
1181
棚に入れた
6384
ランキング
1249
★★★★☆ 3.6 (1181)
物語
3.6
作画
3.5
声優
3.6
音楽
3.7
キャラ
3.6

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らしたー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

不完全燃焼ネタの多さにワロタ

好きか嫌いかで言えば、かなり好き。
キャラ配置に、高橋留美子的なものに通じる、抜群の安定感があった。

どこか懐かしい感じがするキャラデザがすっごい好みだし、案山子の機能美然としていないダサさも、「解明されつくしていないもの」を表現したものとして、たいへん肯定的にとらえている。そう、あれが兵器的な理路整然さを持っていたら、もはや「神様」ではいられないのですよな。

次回への引きの強さはすばらしいものがあり、惰性で最後まで付き合わせてしまう、ある意味で詐欺的な1話単位での脚本力は確実に評価に値するでしょう。
また、主要キャラクターの立ち位置と行動原理の現在だけを先にずらっと見せて、その原因をあとからじわじわ解明する手法を一貫して採っており、ずるいんだけど、この手の展開に吸引力があるのもたしか。まあ、新キャラ登場のタイミングからして不完全燃焼する気満々だよなあと思ったが。

ただ、いささか引っ掛かりがあって。
自分の経験的なセオリーだと、ヒロインの日比野にも、恋愛に踏み切れない現在の「結果」を導いた、過去の「原因」というのがちゃんとあって、それが主人公の行動の何かしらとシンクロする形で解消されていき、晴れて恋愛成就なり、というのを勝手に想像していただけに、「ただ乳のでかい理想的な女」扱いだったのには苦笑してしまった。
歪んだ過去を持つ村の者と、素直な今を生きている日比野さん、という対比を意識したのであれば大変納得のいく上手な設定ではあるが、個人的にはやはり、彼女が事件に巻き込まれることの「キャラクター設定上の必然性」というものを今少し磨いてほしかったと思う。

で結局、恋愛話としてはいちおうの決着を見ているのに、メインシナリオは投げっぱなしってのは甚だちぐはぐなわけで。
2期はいつなの、という問題以前に、2期前提であるなら、恋愛としても軽はずみな着地をしてはいけないし、1期でそれなりの区切りをつけるなら、強引にでも本筋に決着らしい何かを提示するべきだろうと。
これはシリーズ構成というより、もっと上のレイヤーでの失策だろうと思われる。意図的な失策くさいところがちょっと腹立たしいですが。


●最低限の説得力は、もたせて損はないから

案山子という存在が、超人的な「重機」として機能していたであろう前時代であれば、そこに信仰が生じるのも必然と思うけれども、科学技術が普及した現代において、ましてや都会への人的流出が当たり前になった村において、案山子が信仰の対象となるには、ある種の洗脳(語弊があるのは承知)が絶対的に必要になるはず。それ以外の理由としては、共謀共同正犯としての「罪悪感の共有」くらいでしょう。

本作では、「伝統」は描かれているが、「洗脳」は描かれていない。

洗脳とは、極論すればメリット感の植え込みである。
案山子を守り信ずることで、アナタに、そして村のみんなにこんなメリットがありますよ、という、「幸福の指針」があって初めて成立するもの。

この作品に限ったことじゃないのだが、

「因習にとらわれた村で…」

というフレーズがゲロ出そうなほど食傷気味な反面、その本質についてちゃんと考えているんだろうかと首をかしげてしまう作品も多い。とくに舞台が現代の場合だと、「伝統」の一語で説明できるほど単純な話じゃないからねえ。

きちんと考えた上で適宜省略している作品と、はなから考えていない作品は、けっこうすぐにわかっちゃうような気がする。

端的に言うと、「ちょっとした村人の描写」に圧倒的な差が出る。

投稿 : 2013/06/29
閲覧 : 313
サンキュー:

7

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