hiyama さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
京アニ製の化物アニメ
「氷菓」から始まる古典部シリーズのアニメ化作品。
一応ライトノベルとして発表されている作品であり、ストーリーに重さはないしキャラクターも若い層に受け入れられやすい設定にされているとは思う。
内容としては学園ミステリー。そして青春小説的な要素も含まれる。
作風としてはザ・ライトノベルという印象ではなく、むしろ一般小説の雰囲気・趣が強い。
ただ、キャラクタ―デザインや声優の演技などとっつきにくい印象はなくやはり若い層にも受け入れられやすいように作っていると思われる。
男性キャラも女性キャラも妙に可愛い。
そしてとにかく怖いくらいの完成度を誇るアニメ。
最初から最後までとにかく乱れない作画の美麗さは何なのだろうか。
内容的にもアクションというわけではないし、会話パートの多さゆえに動き自体はものすごく多いというわけではないはずの作品で、これだけ動きを与えているにも関わらずまるで崩れる様子がないという京アニの実力には畏怖を超えて恐怖すら覚える。
画や色彩の美しさが一々際立つ上、力を入れるべきシーンではその美はさらに絶大に増す。
しかも、何気ないシーンにすらどんだけ気合を入れているのかと…ある種の狂気を感じる。本当に怖い。
しかも学園ミステリィ故の長い会話パートにさえ飽きさせないようなキャラクターの動きだけでなく、シャフトの物語シリーズのような楽しめる画の演出が豊富。
手を抜かないにも程があるというかどれだけ力を入れているのか…。
なおストーリーは原作に概ね忠実で多少オリジナル改変がある程度。キャラクターも大きく逸脱しているわけではないが描き方や印象は変化している。
ただ、どれもマイナスとは言い難いほど丁寧。
勿論ストーリーやキャラクター、キャラデザや原作との違いなどの好き嫌いはあるとは思うが…しかし、このアニメの異常なクオリティを認められない人はまずいないと思われる。
それくらい凄まじい出来栄え。
単純にクオリティで判断すれば2010年代では最高クラスの作品の一つ。
10年後の今でもこのレベルの作品はまずお目にかかれない。
『クラナド』『涼宮ハルヒの憂鬱』『AIR』『らきすた』
『けいおん』『響けユーフォニアム』『日常』
『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』『小林さんちのメイドラゴン』
等々…。
名作傑作の枚挙に暇がない京都アニメーション作品の中でも…話の内容から作画、各和・全話の脚本・構成・演出・展開…個人的なベストを上げるなら氷菓を推す。