h02dvvd さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「個別の11人」とは何だったのか
【萌え】☆☆☆☆☆ 【シリアス】★★★★★
【ヒューマンドラマ】★★★★☆ 【アカデミック】★★★★★
【ギャグ】☆☆☆☆☆ 【演出】★★☆☆☆
一期視聴推奨。
いや~相変わらず面白かったです。難民問題という日本人にはよく分からないテーマに首を突っ込んでくるあたりはさすが神山さん。いや押井さんなのか。どっちが原案出したんだろう。
ともかく、作画以外は良かったです。一期よりしんみりとした話が多かったですね。パズ回やらベルリン回やら。クゼとの駆け引きまでおセンチな方向に突入するとは思っていなかったので不意を突かれました。
エンターテイメントとしては面白かったです。が、いざ考えてみると色々謎が残る部分が多い作品だと思います。例えば、私には「個別の11人」は正直よく分からんかったです。腑に落ちない。
{netabare}
バトーとゴーダが屋上で語り合う回で、ゴーダがこんな感じのセリフを言っています。
「彼ら(個別の11人)の行為が今のような事態を引き起こしているとしたら、ウイルスを作成したハッカーはやはり一流ではないだろうか?」
これが腑に落ちない。字面を追えば、「民意が突っ走った結果が自衛軍派遣で、個別の11人は難民問題という火薬庫に火をつける役割としてよくやってくれたよね」、とでもなるんでしょうが。
この作品、民意がまったく見えてこないんですよ。
基本的に全てのエピソードが九課視点で語られる以上、視聴者が受け取る構図は「難民を排除していく方向へ国民を煽ろうとしているのがゴーダで、ゴーダがそのために用意した役者が『個別の11人』で、難民のへ武力行使を防ごうとしているのが九課だよ」みたいになると思います。この場合、民意は「個別の11人」経由でしか入ってこない。
だから、「実際のところ国民はどう思ってるの?」という部分に関するリアリティがないんですね。それと同時に、九課がゴーダを阻止する理由も「ゴーダ、わるいやつ!」というリアリティに欠けたものに見えてくる。
個別の11人の行動がある程度国民の意識に影響を与えたであろうことは分かりますよ。でも、自決の必要性があったとはどうにも思えない。結局バトーの口から間接的に「個別の11人は誰の英雄にもなれなかった」と語られるので、自決は失敗した、国民から忘れ去られてしまった、というのが一応の結論だったのでしょうか。
しかし難民問題の引き金を引いたのは個別の11人。個別の11人は、半分失敗し、半分成功した?
物語として、個別の11人をどのように定義したいのかが見えてきません。国民の中での個別の11人の立ち位置に関する説明も、説得力に欠けているような。二話の国民バージョンみたいなものをやっても良かったんじゃないですかね。
あと、童貞のくだりも唐突すぎてよく分からない。個別の11人は全体的にどこまでが「演出」なのか測りかねます。
細かいところを言えば、クゼの提案に少佐が簡単に折れちゃったり、九課がゴーダを結局あっさり殺しちゃったりと疑問符がつくシーンは色々あるのですが、一番ひっかかったのは個別の11人ですかね。
{/netabare}