たんたんたぬき さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
エレンの狂気
原作かなり見ています。
とにかく面白い。それ以上書くのが嫌になる作品。こういう思いって皆感じてると思います。ただすごく面白いんだって気持を伝えたい時言葉って邪魔です。それでも振り絞って拙い文章を書きます。
まず私が一番この作品にはまり込んでる部分はドラマです。リアルな世の中の不条理への怒りを持った人ならエレンに対してシンパシーを抱くはずです。この作品のエレン以外のキャラはその不条理を諦めで受け入れてしまっています。エレンはそれが我慢が出来ない。だからそれに立ち向かう、だから早死にすると皆に見られています。私はこの作品悲劇を軸に見ていません。むしろ絶望的な世の中で何を指針に生きるべきか?って部分が面白くて見ています。エレンは諦めずに戦い抜く事を生きる指針にしています。私はこの作品の一番の面白さってエレンの勇気だと感じています。こんな状況では狂気に近い怒りが無ければ反発できないって強く感じます。彼の狂ったような巨人への怒りは周りを動かします。
多くの人が本当の意味で共感を抱くのは逆に周りの諦めてる人だと思います。じゃあ何故エレンにシンパシーを抱くか?と言えば、そういった周りの人間も最後はエレンの熱気に同調してしまってるのです。エレンにシンパシーを抱くと言うより上手く煽られてしまうんですよ。それが気持ち良いです。彼の折れない心に勇気付けられるんですよ。
何故勇気や熱気と書きつつタイトルを狂気にしたかといえば、生きる事の心の澱みに対する解放こそがこの作品の肝だと思うからです。私はこの作品に混迷不条理な今と言う時代に対する時代性を強く感じています。勇気や熱気は分かりやすいのですが、ぬるいんですよ。
私が本当に書きたいのはここです。ただちょっと他にも触れたいのでついでに書きます。
この作品原作を知ってるからこそ言える事があるんですよ。原作絵下手です。しかもすごい人気作としてはありえないぐらい下手です。それだけ内容がすごいんですよ。この作品のアニメ化の成功は約束されていたと思います。これこそまさに原作です。漫画じゃなくて原作。それゆえアニメ化した時の絵の良さは素晴らしいです。まず背景、キャラデザは逆に良くないです。ただ美化されまくってます。これは素直に好感。何よりアニメ化によってえられた立体機動のカッコよさ。これは見るものをとりこにしますよ。原作ではまず味わえない。良く原作を表現してくれたって言葉がありますが、この作品に限っては良くしょぼい原作をここまで良く描いてくれたとなります。しかしこの作品それだけなら売れてない。巨人だけは原作でも素晴らしいです。これこそ見事に原作の魅力を再現してくれたとなります。あの暑苦しい熱気を帯びた体表面を上手く表現してくれています。
漫画原作でアニメとしての付加価値がこれほど高い作品を私は滅多に見たことが無いです。