STONE さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 3.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
私、気になります
原作は未読。
古典部に所属する4人の男女を中心としてストーリーは進んでいくが、この4人それぞれ
性格に癖があるため、いわゆる他作品のメインキャストとはだいぶ異なる感じ。人によっては
あまり好印象を持たないのではないかと。
逆にありきたりなステレオタイプのキャラではないため、いずれも印象には残る。
男子の折木 奉太郎と福部 里志は共に今の自分の生き方を自ら肯定しつつも、互いの特性を
羨ましがっているようなところがあり、本音では現状に満足しきっているようではなさそう。
そんな二人が古典部での経験や交流を通して、内面に変化が起こっていく様は、いかにも
青春モノといった感じで、見ていて楽しい。
女子に関しては千反田 えるの天然振りが印象的。単に天然なだけでなく、どうも
パーソナルスペースが普通の人より狭いみたいで、あの無防備な接近の仕方は誤解する男子が
絶対出そう。
折木に対して、単に無防備なのか、恋愛感情があるのかどうかは最後まで明確には描かれ
なかったが、少なくとも他の友人以上のものは感じているみたい。
基本、古典部の4人のみがレギュラーキャラで、他はゲストキャラといった感じだが、この
ゲストキャラのキャストが何気に豪華だった。
京都アニメーションというと、文化祭が印象的な作品が過去にもあったが、本作は文化祭の
回にかなりの話数を使用しており、ひときわ印象的。
この文化祭では、手違いにより印刷部数が多くなってしまった古典部の文集の問題、学校
での盗難事件の「十文字事件」、伊原 摩耶花の漫画研究会での先輩との対立という3つを
主軸に話が進んでいくが、それぞれ無関係である3つの問題が絡み合っていく構成は見事。
他に複数の話数を掛けた編としては序盤の45年前の文集「氷菓」を巡る謎、2年F組の
未完成のミステリー映画の結末を探る謎があるが、いずれも間接的には文化祭につながって
おり、そういった意味でも、文化祭がこの作品のハイライトといった感じになっている。
それだけに文化祭後は少々燃え尽きた感が無きにしもあらず。
ジャンル的には日常系ミステリーなのだろうが、ミステリーという部分にこだわって
しまうと、事件はほとんどが犯罪性は皆無だし、その謎を解く推理もそれほど凄いものでは
ないため、多少肩すかしを食いそう。
日常系ミステリーと言うより、ミステリーっぽい事象に彩られた日常系と言った方が
イメージ近いかも。
高山が舞台だが、さすが京都アニメーションといった感じで背景描写は素晴らしい。
他に映像的部分だと、心象表現や事件の説明などを、独特のビジュアルイメージで描いて
いたのが印象的だった。
ジャンル的にも雰囲気的にも、他では見られない独特の世界を持った作品。