らしたー さんの感想・評価
3.9
物語 : 3.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.0
状態:今観てる
「上官の食料庫からお肉盗んできますた…ギュヒヒ」の凄さ
なるほどー。
原作漫画は、売れてるなあ、くらいの知識しかなくて、恥ずかしながらまともに手にとったこともなく。
アニメではじめて世界観等もろもろ知りました。
トータルな感想はもっと思い入れのある方にお任せするとして、自分がいたく感心した、ある象徴的なシーンについてだけ。
●「上官の食料庫からお肉盗んできますた…ギュヒヒ」
{netabare}
何話だったか、わりと序盤の方で、サシャがネトゲ廃人みたいな顔して、
「上官の食料庫からお肉盗んできますた…ギュヒヒ」
という場面がありました。
あの顔芸も相当気に入っていて、というかサシャの顔芸全般は軽く職人芸なんですが、本当にすげえなと思ったのは、その直後です。
あーなってこーなって、吹き飛ばされた仲間が城壁から落ちた時に、迅速果敢に救助を試みるのもまたサシャなんですよね。ついさっきまでアヘン患者みたいな顔して「お肉ギュヒヒ」って涎たらしてた人に、その役目を割り振るセンスって地味にすごいことですよ。
あれ別に、必ずしもサシャである必要ないんです。他の誰かであっても問題なく話は進みます。
そこをあえて、さっきまで「お肉ギュヒヒ」って恍惚としていた彼女に、まだ弛緩した余韻をまとっているサシャというキャラクターにやらせるセンスって、けして当たり前のことではないと思うわけです。
なんていうかですね、サシャというキャラのギャップ(魅力)を見事に表現しただけでなく、同時にシーンの「静から動」をもっとも効果的に演出する流れをセレクトしてるんですよ。
さっきまで「お肉ギュヒヒ」って目がイっちゃってた人が、打って変わって迅速に動くことで、場の緊張感が一変するんです。
正直申し上げて、脚本のテンションを自由自在に操ってます、みたいな、ものすごい自信と凄み、みたいなものを感じてしまいました。
{/netabare}
あの瞬間、この作品はちゃんと観ようと思った。
あれ、原作でもそうなってるんですかね。
派手な展開を裏で支えてる小技というか、きちんとロジックに裏打ちされた緩急表現てのが、作中けっこう散りばめられていて、正直、語りたいシーンが山ほどあって困ってる状態なのです。
これは純粋に原作者のスキルなのかなあ。計算してやってるのか、無意識に出来てしまうのか、どちらにしても大変な才能じゃないかしら。
ダークファンタジー愛好家としては、進撃の雰囲気ってストライクではなくて、だいぶん好みからは外れてたりします。
OPも含めたビジュアル面のクオリティが素晴らしいんで、それのためだけに適当に観続けるかー、くらいに当初は考えてました。
それを許さなかったのはまさに巨人級の展開力の成せるわざなのでしょう。画面から目が離せなくなるなんて、久しく感じることのなかった感覚です。
お見事です。
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いちおう先の展開知らないんで、「物語」点だけは保留の意で3.0を。
つか、個人的には「物語」とはべつに「脚本」という評価軸がほしいところ。