じょー さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 4.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
これ以上のラブストーリーがあるの?
人を好きになる事、気持ちを伝える事という、言葉にすれば簡単なことを、終始徹底して丁寧にそして緻密に表現したアニメだったなと思います。
序盤は、1期では聖人として描かれていましたが、2期では嫉妬や焦燥を隠せない普通の男の子である風早の成長のストーリー。中盤からは、胡桃と千鶴二人の異なる失恋の体験者に後押しされ、信じて見守るあやねに支えられ、傷つきながらも成長していく爽子のストーリーに変わっていきました。
7話まではすれ違いが続き、冗長で、もどかしく見るのやめようかとも思いつつありました。それが、8話で爽子の分身のテントウ虫が飛んでいくシーンから、9話ジョー登場までの展開は、2期それまでの鬱憤を晴らして、さらにおつりが来る素晴らしさでした。’届かない’2期ストーリーは、すべてが主人公二人がしっかりと成長し、気持ちを届けるこの瞬間のためにあると思わせます。
自分の気持ちの再発見、ライバルとの明暗、走る姿を美しく彩る髪の細やかな動き、繰り返される作品のテーマである「届け!」、セリフもBGMもない無音状態を使った緊張感、淡い背景に強い線で書かれる二人、気持ちがあふれていくような爽子のセリフ、震える肩と手、教室の扉に掛けられた指の動き、繰り返される「好きなの」、強い意志で扉を開ける風早の手、恥ずかしがる爽子のこれ以上ない美しさ、揺らめきながら落ち着いていく髪、柔らかく捕まえられる爽子の手、愛おしげな風早の表情、シャツを握りしめる動作。それぞれが主人公二人の心理を描写しており、アニメの表現力をあますところなく出していました。こんな美しい告白シーンは、いままで見たことないです。長い間自分が忘れていた心の奥にあるものをぎゅっと捕まれる気がして、ただ息が止まり、涙すらでてこなかったです。
そして恒例のニヤニヤタイムがスタートしました。10話以降はとても下心なしではみれません。何度も確認するように気持ちを確かめ合う展開は、前半のすれ違いがあるからなのですが、見てる方は殺してくれというのが正直な感想です。最後には、胡桃の成長と決着まできっちり描いて、まさにハッピーエンドでした。
声優に関しては、僕の麻美子だけでなく、平野さんと、沢城さん、三瓶さんなどサブの印象が強かったです。特に2期は、0話と最終話が胡桃の回で、あきらめをにじませながらも強さを表現した、平野さんの演技が素晴らしかったです。
原作の良さをできるだけ忠実に再現し、2話バレンタイン、8話後半届けっのシーン、9話告白シーン、10話後半の再告白シーン、最終話対決シーンなどは、作画もとても印象的で素晴らしかったと思います。
エンディングに、ほんの少しですが、個人的に一番好きで、かつ最もニヤニヤな初デートのエピソードが見られたのがとても嬉しかったです。このときの爽子は本当にかわいいです。アニメで是非みたかったシーンだったので、本当に満足できました。