雷撃隊 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
事件が起きないミステリー
事件なんて起こらなくてもミステリーとして充分成立している点がいい。日常の些細な疑問。これだけで毎日が楽しくなる、そんな作風がいい。中村&坂口の掛け合いも京アニファンにはお馴染みだろう。一見地味だが味わい深い。ハルヒのときにもいえるが、一人称小説の映像化がすごく上手。奉太郎の心理描写や単調にならないためのイメージ映像が画面に変化を与えていてテンポがトロくならない。背景や美術も手抜きが無い。下手すると長台詞と状況説明だけの紙芝居になってしまう危険性がある題材を見事に絵で表現している。尤も推理劇特有の謎解きに想像の余地を残す駆け引きも健在なので絵が奇麗なだけでも無い。要はバランスがいいのだ。
自分のお気に入りの回は絶筆になった映画の脚本を完成させるお話の「愚者のエンドロール」かな。未完成の劇中劇の推理で、ミステリーの方法論や有名推理作家に関する薀蓄が愛を感じる。映研部員の「トリック云々じゃなくてドラマだよ」とか「ミステリーとホラーの区別なんて一般人は気にしないっしょ」という台詞も妙に納得。確かに正確に区別できる人って以外と少ないかも。まあ自分はこのサイトに感想書いてる時点で「一般人」ではないんだろうけど。
それにしても奉太郎、天才的な推理力だね。ホームズ並だ。えるは依頼人兼
ワトソン教授かな?聡は金田一耕助シリーズの等々力警部とか連想させる。摩耶香は事件全体の見届け役で風間俊六みたいだ。そんなこと想像しながら見ると楽しいかも。
原作は5冊刊行されていて4冊分映像化されている。また続編が刊行されたら映像化してほしい。