Jonez さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
妥協の無い宇宙描写
基本的にはわりとベーシックなヒューマンドラマですが、
その舞台であり、最大のギミックである「宇宙での生活」というもの描写に
まったく妥協が無いことに感服。
宇宙という巨大な小道具を与えられると、
適当な作品はそれこそ、超科学系のアイテムをあてがって
さも当たり前のように登場人物が普通の生活をできていたりして、
おもちゃ扱いで終わってしまいがちですが、
宇宙で生きるという事そのものをメインの題材として選んだ本作は
宇宙での生活において想定しうる多くの要素に対し
トンでも理論や、反則アイテムや、夢や希望を一切用いず
全て現在想定、もしくは仮定しうる技術や理論をもって
人類がいかにそれに対応しているかという設定を用意し、
その上で生きると言う事を描いており、
いまだ人類が体験したことの無い世界での物語にもかかわらず
とてもリアルな描写がちりばめられていると感じる。
おそらく、かなりの質と量の取材をし、設定を練ったと思う。
(協力にJAXAの名前があったが、たぶん本気で教わったと思う。)
また、物語自体もチャラくもなければ、
一方的に美談だけちりばめる事もしない。
世界を滅ぼす巨悪は出てこなくとも、
扱う題材は全て現実的で真剣なものばかりで、
非常に見応えがあります。
アニメという世界でしか描き得ない、
真剣な「宇宙」を舞台としたヒューマンドラマを
堪能できます。
蛇足ですが、
本作は若本規夫さんが「何も悪いことをしない人」を演じる
数少ない作品でもあります。