SENT さんの感想・評価
4.7
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.5
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
細部のこだわりが凄い
とっても楽しめました。
初代マクロスは小学校の担任のせいで、「歌で悪を倒すんだよ(笑)」のせいで
見てもいないのにたまにネタにして笑ってましたが、
いざ見てみると案外馬鹿にできないと言いますか
むしろとても面白かったです。ちなみにマクロスシリーズはこれが初見です。
■設定…◎
作中でも「小さな地球」と例えられるような人々の生活空間であり
宇宙を漂う巨大な戦艦を、不定期で現れ襲撃する謎の宇宙生命体と
人類との存亡をかけた戦いを描いております。
ここまではまぁどこかで見かけたような設定なんですが、
やはりマクロスの最大の特徴は「歌」ですね。やっぱり。
戦争と音楽
「この俗物が!」とガンダムでもエウレカでも見受けられる台詞のように、
はじめは生存をかけた戦いをしてんだから歌ってるばあいかよ!
って気分になると思ってましたが、違いました。
果たして戦争の状況下で音楽は相容れない不要なものなのか。
否。指揮官の立場からすれば吐き捨てることかもしれませんが
俗物が人が飾らない生の人間の素直な欲求や動向だと捉えるのであれば
地獄のような現場で血を流している人間たちやそれを待つ人々にとって
音楽は本来の自分をとりもどす、
もしくは安らぎや希望と呼べるものになりうるのではないか
(例えそれが錯覚であったとしても)
古くは「ビルマの竪琴」から「戦場のピアニスト」、
最近で言うと「善き人のためのソナタ」がそれを顕著に物語っていると思います。
すなわち市民が現実逃避とも言えますが、
辛い状況下を忘れられる何かに群がる縮図は非常に共感できましたし、
戦争と音楽一つの世界観としてよくまとまっているように思いました。
ということで大衆の支えになるような心に届く音をお願いします!
…ていう発注がきたら普通ビビりますけど、
それに応えて素晴らしい楽曲の数々を一人で手がけた菅野よう子さんに脱帽です。
菅野さんのメロディーは宇宙やら近未来と相性がよいですね。
■物語…◎
ベースに、「宇宙からの襲撃者」があり、
そのなかで軍隊もどきとして抵抗する美形パイロットと
勇気を与え続ける人気アイドル歌手と
そんなアイドル歌手を目指し頑張る純真な女の子が
それぞれの目標に切磋琢磨しながら
各所の繋がりで出来る三角関係が一つの見所。
つか2番目のOPは三角形がモチーフになってましたけど、
それ絶対三角関係を意味してたでしょ笑
でも
三人とも程度はあれど問題意識をかかえ、過去があり、ドラマありで楽しめました。
■テンポと見せ方(演出)…◎
こだわってます。
尺のあるシーンも間延びしない理由はおそらく
一つの画面の中にある情報量が多いから。
世界観に説得力を持たせるための一つ一つの小物のギミック、
ブリッジや市街地のモニター内デザイン
スケール感のある美術にのる細かくモデリングされた戦艦群、
メカのアニメーションとカメラワークに至るまで。作りこまれてます。
それにふんだんに使われる楽曲。一回きりの挿入歌も少なくない。
しかもアニメで歌わせるなんて口パクやら振り付けやら音に合わせないといけないから
作画マンにとっては超めんどくさい作業が待っているしCGとの連携もまたしかり。
いやもうね。とほうもない労力と情熱が込められててもう感服します。
これが毎週OAしてたなんて考えたら何人か死人が出てるんじゃないかと。
ニンジーン Loves you yeah!が一番好き。
突然入る劇中CMも可愛くて面白いテンポを作り出していてGOOD。
■キャラクター…◎
一番気に入ったのは緑の髪の女の子。ランカだったか。
ハスキーボイスな歌声とか純真さとか妹キャラとかもいいんですが、
なによりあの髪の動きに釘付けです。
喋るときに身振り手振りするかのように
髪も感情に合わせてピコピコ動くのが新しかったし面白い。
髪だけ別の生き物なんじゃないかと。
なんだかベタ褒めしてますけど、不満点もあります。
・結局あの宇宙生命体は何だったのかとか
・空気のない宇宙空間でどうやって歌声を届けるんだとか
・もうちょっと抗争に焦点をあててよとか
でもま、そんな突っ込みも許せるくらい今作は楽しかったかな。
ただ、
・歌ってる時の表情がいつも涼しげ
なのはちょっと気になったかな
もう少しまゆ潜めるとか顔崩すとか。
だいたいライブとかでも歌手って全身使って汗びっしょりになってるもんだし。
なにより彼女たちだって形は違えど、
歌うことで戦っているのだから。