disaruto さんの感想・評価
4.4
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
「触れたい」と想うこと
制作はブレインズ・ベースで原作は少女漫画です。
ジャンルは恋愛ファンタジーです。
竹川蛍が森で迷子になった際に、人に触れたら消えてしまう妖怪のギンと出会う。
それから彼女は何度もギンのもとを訪れるようになる。
大変雰囲気の良い作品。
森の風景描写が秀逸でした。
音楽は気の抜けたようなものが多い前半と、クライマックス周辺の泣かせに来る後半の使い方がバランスよく、自然と気持ちが盛り上がりました。
「触れたら消える」という設定が二人の足かせになっており、見ているこっちが息苦しくなる感じです。
触れることに対する心情の描写が素晴らしいので、感情移入が非常にしやすい。
途中の展開は切なくて息苦しいけれど、後味が良いラストでした。
また恋愛もの作品であるにもかかわらず、様々な比喩や伏線があるために複数回視聴した方が良い作品ともいえます。
見終わって半年後位に再放送やっていたので見たら、細かいところまで行き届いていることを改めて知りました。
セリフの一つ一つに深みがあります。
結果的に原作の愛蔵版まで手を出してしまったw
以下感想。
{netabare}蛍がギンに最初にあったときは小学生。
蛍は成長していきます。
だんだんと「触れること」について思いを悩ませます。
小学生の時の「触れること」の意味はあくまで親愛の表れ。
おじいさんと手をつないでいる描写からもそれが表されています。
成長すると「触れること」の意味は重みを増してくる。
男子高校生と触れることでよりギンと触れたいという思いが増していきます。
ギンも雪の日に空を見上げて蛍が来るのを待ち望んでいる。
切ないね。
「何があっても、絶対私に触らないでね」
あーこれ絶対伏線だわと思いましたが、まさかあんな唐突に来るとはw
でもこれって事故ではないんだよね。
直後に妖怪が言っているけど「蛍に触れたいと思った」からわざと触っているんですよね。
消えるシーンは感動。
やっとお互いに触れることができました。{/netabare}
総括して、短いながらもしっかりと構成された、無駄のない良作中編映画だと思います。
泣けるとは言い切れませんが、心は震えました。
悲しいわけではなく、切ない。
そしてキュンとする。
短い作品なので気が向いたらどうぞ。
[追記]
前述しましたが原作を買いました。
映画は原作に忠実ですねw
ですが違う、というか描写を追加したところも結構あります。
{netabare}マフラーの話。
映画はマフラーをあげているところまで描写されていたが、原作はそのままつけていた。
同級生の男の子の話。
映画はちょいちょい出てきていたが、原作は一度のみ。
祭りの話。
映画は結構尺をとっていたが、原作は数コマ。{/netabare}
などなど。
変に追加するとバランスが崩れそうですが、本作はそんなこともなく良改編しています。
演出もいい感じなので、作品もいい感じに。
こういうのを見ると、アニメ化するのにスタッフって大事だなと改めて思いますw