ぱこ さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
未練だけでは片付けられない想いの果てを描こうという姿勢が見える
音楽、声優の演技、舞台となる花屋の色とりどりの花々の丁寧な作画、ごく身近な現代を感じさせる風景は作品の世界観や雰囲気によく合っていてもはや言うことなし。
肝心のストーリーはあらすじの通り、若後家の花屋の店長に片恋慕するアルバイトの青年が、実は死んだ後も地縛霊となって片時も離れずにいた彼女の夫と見えない攻防を繰り広げて彼女を取り合う話。
それだけ聞くと一見滑稽ですらあるが、そこはやはり原作が女性向けなだけあって登場人物の鋭く奇抜で絶妙な台詞回しや心憎く揺さぶってくる回想で綺麗な話としてまとめている。
あえて難をつけるとするなら、全体的に見て店長(ヒロイン)と旦那(恋敵)の過去回想に大分尺が割かれていて、最終的に旦那とバイト青年葉月のどちらが主人公だったのか、どちらに感情移入するかによって判別つき難くなることか。
まあ本編で旦那自身が言う通り「正論からすれば全否定される」存在である子供っぽくて実際未練にまみれた幽霊である旦那も含めて、思いを継承し昇華していく話だと思うのでそれはそれで構わないと思う。
解釈が分かれる部分はやはり、葉月が旦那に体を貸した結果迷い込むおとぎ話のような世界とエピローグにあたる部分ではないだろうか。
あの世界のことを真面目に考察すれば隠された裏の心情や伏線があったのかもしれないが、自分はあまり気にせずそのまま受け止めていた。
エピローグの描写には納得いかないと思う人もいるだろうが、締めがご都合になるのは恋愛漫画ではある意味お約束でもあり、私自身は最終的に三人ともがちょうど良く報われた締めくくりだったと思う。
なんのかんのと言ったが、全体的には中編恋愛漫画のアニメ化としては良く出来た作品といった印象。
ドロドロしすぎず、切なく揺さぶられる恋愛模様が好みであれば是非オススメしたい。