明日は我が身 さんの感想・評価
4.0
物語 : 3.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
スリリングかつ新感覚な戦車バトル
剣道、柔道、などのように戦車道と言う競技が存在するというかなりぶっ飛んだ設定の世界…。
海上に浮かぶ学園艦という巨大な船。その上に広がる街、大洗を舞台に主人公西住みほが仲間と戦車道の大会に出るという物語。
このアニメの見所はやはり迫力満点の戦車バトルである。特に市街戦は戦略性があり絵面的にも非常に派手で面白い!
戦車ごとの性能の違いをうまく活用して相手を翻弄する手に汗握る試合。
テーマとしては代々戦車道をしてきた家族とのとある確執から戦車道をやりたくなくなっていた主人公西住みほが学園で仲間と出会い、一緒に戦車道をしていくうちにその楽しさを見つける、というもの。
そんな中で、ひとつ感じたのがみほが最初に友達となる2人が戦車道をやり始める動機が少し弱い気がする点。特に華は母親から勘当を受けてまで戦車道をやりたいという根拠の説得力がやや薄かった(当然やってるうちにハマっていった、などの理由もあるが)。
また勘当とまで言い放った母親が生け花ひとつであっさり改心というのは都合のいい話だな…と感じてしまった。改心させる予定ならせめてちょっと喧嘩するくらいにしとけば良かったのにあれではキチガイさんである。
またみほのやり方が気に入らない母親もみほの姉も、終始ああいう「負けた後に主人公を認める系ラスボス」がつかう定型文しかしゃべらなかったのが残念だった。
またせっかくダージリンに負けた戦いはもっときちんと悔しがって欲しかった。他はすべて勝つのだからそういう泥臭い敗北もスポコンに必要な気がするがあまりに全体的に爽やかかつさっぱりしていた(1クールだから仕方ないのかもしれないし、それが売りだというなら完全に個人的な好みになるが)。
スポコンものの名作とあらかじめ聞いていて期待値が高かったがゆえに少しインパクトに欠けた。どちらかというと部活動サクセスものの良作って感じである。
しかし、そのような心情変化の雑さや溜めの少なさが多々目に入りはしたものの先ほど挙げたみほを中心とした物語のテーマはきちんと書けていたので作劇としてはきちんとまとまっていて、十分良作の範囲である作品なのは間違いない。
何よりテンポの良さによって分単位でのキャラの掛け合いがキャラをアピールする頻度を増していて、だからキャラを見てるだけで愉快な気分になれた。
秋山さんと冷泉さんと生徒会長と桃ちゃんは特に取っつきやすくて視聴者に優しいキャラである。
先ほど挙げたように、全体的に爽やかな雰囲気がある作品である上、キャラの取っつきやすさもあるので戦車というイレギュラーな題材を扱っているのに非常に気軽に見れるところに素晴らしさを感じた。
期待していたベクトルと違ってはいたものの良い作品だと思った。
きれいに畳みすぎたので、2期がもしあれば今度は世界観をさらに広げてほしい。