シェリー さんの感想・評価
3.9
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 3.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
まさにラブコメ
父親行方不明、母親と二人暮らしの高須竜児と
離婚した両親と離れて暮らす、逢坂大河の2人の恋愛を中心に世界が廻る物語。
ラブ&コメディがよく描けてる作品です。
2人はそれぞれの片思いのもどかしさ、好きな人の前に立つ緊張感から
考えていたようには行動出来ずにてんてこまいになることが多く
それが共感を誘うこともあれば、笑いになることもしばしば。
あの若さゆえの無鉄砲な行動や高校生というあらゆる意味で過渡期に感じる葛藤を
そのまま切り抜いてるかのような表現がこの作品の魅力となっています。
彼らは周りに合わせるように、スムーズな友人関係を保つようにしているように見えて、
自分を偽ってしまっていて、なかなかその深い井戸の中から抜け出せません。
しかし互いに意図してその部分を刺激し合い、時にはいや多くの場合、
暴力や言葉による強襲、自暴自棄にも見える行動によってその壁を取り払います。
そうやってでしかできない不器用な彼らなりに、相手ができるだけ納得のいく理由を手にして正しい方向に向かえるように。
恋愛描写に関して個人的な意見をひとつ。
「打ち明ける」ことと「伝える」ことの違い。
村上春樹さんがエッセイでおっしゃていたことがこの作品を観ていて頭に浮かびました。
「打ち明ける」のは初心者、「伝える」のは上級者だそうです。
恋愛経験がある人なら、いやなくとも経験したことがあるだろう
好きなのに「好き」とは言えないあの感覚のことを言っているのだと思います。
「好き」という言葉だけでは伝わらない。伝わらないのが単なる好きという想いだけではないからこそ「伝える」ことが難しい。
またそれを口にしてしまえば、その瞬間すべてが跡形もなく崩れてしまうような予感のする
非常に曖昧で複雑でありながら、まるで底まではっきりと透けて見える海のように純粋な想いです。
この作品にもこれに通ずるものがあったんじゃないかなーと思いました。具体的には言えませんが。
この作品では自分と相手、周りの人たち、簡単に割り切ることのできない物事と直接向き合い
手探り状態ながらも前に進んでいこうとする彼らを観ていて人によっては発見や気づかされることのある作品です。
{netabare}
大河のブレのないあの性格はある意味好きです。
まっすぐで頑固。ホント不器用ですw
川島は面倒な女です。
言ってることはぜんぶ自分のこと。
でもそれも分かってる。
もう少し成長が見たかったキャラです。
問題児くしえだ嬢。
結局大河に譲る形になってしまった。
目に見えるものを頑張る。
それは目に見えないものからの逃避なのでは?
部活とバイトで時間を埋めに埋めて、その気持ちも竜児への想いも一緒に埋めようとした。
ただ純粋に大河を傷つけることができなかったのです。
高校時代の三角関係は成立した瞬間から確実に歪み始めます。
最終的に形は残らず、決まってバラバラになるある種宿命のようなもの。
悲しいですよ。あんなに仲良かったのに。うん、ホントに。あれ?前がかすんで見えるw
そんなくしえだ嬢も女の子の部分は可愛いです。
ちなみに僕が櫛枝で一番好きなシーンは通帳を渡すところです。
駆け落ちなんて絶対上手くいきっこないし、絶対反対。
だけど大河がそう決めたならあたしは応援するよ。ってとこ。
誰かが固い意志で動くと決めたときに何も言わないってのは好きです。
それがどれだけ誤った道であろうともその人自身に責任を負う覚悟があればそれでいいし
人が考えに考え、自らの信条にそった意志はやはり行き着くところに向かうことが僕は正しいと思います。
この作品で恋愛描写以外で心を打たれた話は大河の父親のストーリーです。
最初から最後まで移りゆく高須の気持ちに共感しました。
全ての親が子を愛してるわけではない。悲しいことですがホントにそうです。
自分の頭で考え「正しさ」を見極めていくことは大切です。
読んで頂きありがとうございます。
なにか感じて頂ければとても嬉しいです。
{/netabare}