とろろ418 さんの感想・評価
4.5
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
宿り木の孤悲
あまり語るとネタバレになってしまうので、詳細は割愛しますが、練りに練られた作品であることは間違いありません。
完成度という点では文句のつけようがないほどレベルの高い作品だと言えます。
『文字をそのまま映像化した作品』という表現がしっくりくるかな。
映像作品を見るというよりは、小説を読んでいる時の感覚に近いと思います。
特に感心したのは、『雨』『緑』『傘』『靴』これらに関する描写ですね。(情景描写というよりは感情描写で)
ここまでハッキリと作り手のイメージが伝わってくるのは本当に凄い。
映像美や音楽については語らずとも安心のクオリティ。
その他の良かった点を挙げるなら、声優さんかな。
正直、PV見た時点では、一部のキャラの声優さんに違和感を持ってました。
しかし、物語後半になって納得。ミスマッチ? とんでもない。イメージピッタリです。
残念だった点は、①多少整合性に欠ける物語と②高過ぎる完成度。
①少し考えてしまうと所々で疑問が沸々と湧きあがってきます。
キャラが全く動いてないわけじゃないけど、作者の都合で動いてる感が否めない。
②良い点であると同時に悪い点でもあるかも。
『梅雨の間の短い物語』(中編)というコンセプトに加え、
主人公と視聴者の体感時間を(短縮方向で)リンクさせているため、
正にあっという間の出来事のように感じられる。
終わり方も後味が良く、それ故に視聴後の満足感は薄め。
また、一切の無駄を省いているために、多少の窮屈さも感じられます。
考察や感想(ネタバレ)→{netabare}
・台詞
詩的で、描写との相乗効果が凄かった。
その分、現実的ではないんですけど、それはまぁご愛嬌ということで。
例えば「もう靴がなくても歩ける」。
多分「あなたが居なくても大丈夫」という意味でしょうね。
そのあと靴を履かないままだったのも印象的でした。
・花澤さん
儚げな声が特徴的。一方の雪野先生は最初見た時、クールなイメージでした。(実は男だと勘違いしました)
物語の進行に合わせて、女らしさが増していく。そしてあの設定。
体感時間のコントロールといい、主人公と視聴者を同調させることに力を入れてるんでしょうね。
・雪野百香里
何だろう。凄く思わせ振りな名前。
百じゃなく由を使うのが普通な気がする。
単に被りを避けたのかもしれないが、ラストシーンを考えるとそうとも思えないですね。
雪の原、百が香る里。
『あなたが私の出発点です』的な意味合いがあるのかもしれない。
・新海さん
完全に個人的な意見ですけど、ファンタジーよりこういった現代ものの方が合ってると思います。
{/netabare}
最早、芸術の域と言って良いかもしれません。
『秒速5センチメートル』よりも後味が良いので、そっちが苦手な方でも気兼ねなく見られると思います。オススメです。
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『だれかのまなざし』
同時上映の短編作。
こちらはホロリとくる家族のお話です。
あまり書くと長くなるのでこちらも割愛。
専用ページができたらもう少し詳しく書くかも。