
退会済のユーザー さんの感想・評価
4.4
物語 : 4.5
作画 : 4.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
成長がテーマ
この物語が一番に描きたかったのはおそらく登場人物の成長だと思います。それは精神的な面だったり人間関係だったりと色々ですが、全てに共通して言えることはそれらの成長が「受動から能動」への変化だということです。
例えば例をあげてみます。
・何でも受動的で自分から行動をする事の少なかった四十万 縁の川尻 崇子との結婚や旅館の抜本的改革の計画
・押水 菜子が兄弟に対して責任感を持つ様になる
まだ、色々ありますが何より下記の様だと思います。
・松前 緒花の全ての事に対する感情の受動から能動への変化
この松前 緒花の成長は「彼女は最初は泣きながら廊下の雑巾掛けをさせられていましたが、最後にはギリギリの時間まで自ら雑巾掛けをする」という所に全てが集約されていると思います。
この様にこの作品は沢山の人間の成長がテーマとなっており、それでいて2クールの尺を余す事なく使い切った作品です。
小さな町の旅館という、一つの箱庭的な世界が舞台で、多彩な人物を登場させ視聴者を全く飽きさせる事なく、それでいて美しい世界観に少しづつ魅了されていきます。
作画は人物も丁寧ですが、何より背景が素晴らしいです。季節毎に花の咲き方が変わっていく辺りから、製作者の思いが伝わります。
また、劇伴も世界観にマッチしたものとなっています。
非常に面白い作品なので是非沢山の人にみてもらいたい作品です。
ただ、あくまで日常を描いた作品ではなく青春群像劇ですので、日常系が観たい方は少し注意が必要です。