るぅるぅ さんの感想・評価
3.4
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
才能と夢。
全24話
ジャンル:青春ラブコメ
テーマ
天才と凡人の才能を表現し夢を叶える大変さを教える。
裏を返せば、一発逆転ホームランみたいな甘いことを考えるなと教えたいのだろう。既に人生経験として夢を求める苦悩・劣等感・挫折と一通り味わった者・夢を叶えた者・夢を見つけられずにいる者にどう表現し伝えるのか期待を持たせるテーマ。
作品の根本を否定して申し訳ないが、才能の表現が悪かった。ましろの画家と空太のゲームクリエイターを物差しとしているが、畑違いのジャンルでは感情移入しにくい。同じジャンルにより能力の優劣を表現していればもっと深みのある作品になった。
恐らく著者は天才画家という設定に対して空太と同じ年齢、生まれ持った資質的な能力で劣等感を浴びせ、空太には何も無い、何かを夢を見つけさせる意図であって人の生まれ持った才能を描きたかったのだろう。また、天才という設定もいらなかったと想う。絵が少し世間から評価されている女の子で良かった。それだけでも設定として使えるがインパクトが薄い、ましろのキャラ設定を考えるとリタとの対比もあって天才にする必要があったのだろう。
1~4話で好き嫌いが色濃くでるポイント。
空太のましろに対する理不尽な行動も生まれ持った才能の前では全て押し潰される気持ち、理性でわかっても抑えられない感情。でも、夢を与えてくれたましろに感謝・惹かれる想いもあって行き場の無い心情描写だが、同じパターンを繰り返し使われては共感より空太、いい加減成長しろよ! と、だが、そんな簡単に人は成長できないし割り切れない生きモノと表現していることも伝わって来る。まだまだ高校2年生は子供だし受け入れられない心が表現されていた。
だが、21話(雨の中で立ちすがるシーン) オーディションに不合格だった青山が泣く姿に空太は自己投影し”もう逃げんなよ”という言葉は残念ながら納得できなかった。空太は凡人ではないゲームクリエイターとして半年足らずで社会に認知されている。天才ではないが、凡人の域は脱している、最も凡人として描かれている青山の心情描写が足らない。
それに関しては青山も少し優れている空太も才能あるましろの存在感に捕らわれ過ぎて周りが霞んでいる。
霞んでいるという点では、クラスメイトの関係描写が希薄すぎる。あれだけ天才・変人が集まるメンバーの関係性が内輪だけでは違和感を覚える。特に青山に告白した宮原の心情が皆無に等しい、空太の引き立て役としかなっていない。後は、勢いで参加しないといけない過剰演出が強い。
才能とリアリティを結びつけて観ると勿体無い作品だが、本題は夢を求め叶えることをメッセージとしている。
むしろ才能を逆手に使ってラブコメ・仲間との絆を深める展開に憧れ希望という夢の原動力になる作品であると感じられた。
これほど観方の解釈次第で変わるアニメもないだろう。