STONE さんの感想・評価
4.0
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
16話まで含めた感想です
原作は未読。
普通の続編やスピンオフではなく、まったく新しい主人公チームを軸に、「咲-Saki-」
(以後、前期と表記)の主人公チームであった清澄を一種の敵キャラにする試みは結構
面白かった。直接対決は無かったけど。
前期の主人公である宮永 咲がおとなしくて控えめな性格だったのに対して、本作の主人公
である高鴨 穏乃は、前向きで言葉より先に体が動くようなタイプ。差別化を計るためにも、
これぐらい違っていた方がいいかなと思った。
プレイスタイルもスマートさは無く、泥臭ささえ感じるもので、粘り腰で勝ち上がる
タイプと、これまた咲とは異なる。
しかし、TV未放送の終盤回になってから、特殊能力を発揮。これに関しては、同じ
阿知賀の鷺森 灼の能力もそうだったが、特にチーム内では秘密にしていたわけではない
みたいなのに、終盤になってからいきなり明らかになると変な唐突感はあった。視聴者を
驚かせたかったのかもしれないけど。
これは構成の問題だと思うが、全国大会に尺を取るため、阿知賀の奈良県での予選が無双
状態。そのため長野予選で苦しんだ清澄と比較して、相当強そうなチームに見えて
しまったが、いざ本選に入るとかなり苦戦する阿知賀にいささか違和感が。
あと予選が早く進んでしまったため、阿知賀のキャラをじっくり描く時間が無く、本選では
むしろ対戦相手のキャラの時間を割いている印象。そのため阿知賀は主人公チームにしては
印象が薄い。
特にTV放映の14話までに関しては、虚弱な体を呈して戦う園城寺 怜を中心に千里山を
よく描いていたため、「咲-Saki-千里山編」と言った方がいいぐらい。
この作品モブキャラのようなキャラもバックボーンを描いたりするが、余裕があるなら
ともかく、もっと阿知賀を描いた方が良かったのでは?
本作は新たなオカルトプレイヤーが続々登場するが、前期に較べて能力がインフレ化して
いるような印象。
能力発動時の映像も派手になっているが、これはプレイヤーの心象イメージを映像化した
ものか、本当にそのような異常現象が発生しているのか、区別できない。
そんな数々の能力者の中、やはり強さを一番印象付けたのが宮永 照で、前期から強い
強いと言われていた照の力がついにベールを脱ぐ。
この作品、オカルト系と並んでデータ系とでも呼ぶべきデータ分析に長けたプレイヤーも
多く登場するが、照の場合1巡目で相手の本質を見極め、その後で必要とする牌が集まって
くるところからすると、オカルト系とデータ系を併せ持った存在なのかな?。
しかし、能力により型が定まってしまうところは牌が集まってくる系統のオカルト
プレイヤーと同じで、照もそれが弱点になり得るみたい。
園城寺が自身の能力を更に推し進めて対抗したのに対して、松実 玄は能力を捨てることで
対抗。いずれも自身の能力のその先へ進まなければ対抗できないみたい。
見事なまでにボスキャラ振りを見せてくれたが、準決勝自体をシーソーゲーム展開にする
ため、照が強い分、他の白糸台のメンバーが弱く見えてしまい、チームとしてのボスキャラ
度は弱くなってしまった印象。
前期のキャラが続々登場するのはやはり嬉しいところで、本選に進めなかったキャラを、
阿知賀の特訓相手として登場させたのは、なかなかうまいやり方だなと。
阿知賀と咲が遭遇した際、あのおとなしい咲がコワモテのように描かれていたのはちょっと
可笑しかった。確かに麻雀の実力からすると一種の化け物ではあるけど。
今後の展開が楽しみではあるが、ここで阿知賀が登場したことで、咲と照の姉妹の因縁と、
穏乃、新子 憧と原村 和の幼なじみの因縁の2つの軸ができてしまい、下手すると焦点が
ぼやけるかも。