退会済のユーザー さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
私にとっての”ハルヒ”
TVシリーズからの完結編的な位置付けではないのかと僕は感じています。
間違っていたらごめんなさい、ちなみに原作は未読です。
個人的にこの作品を魅力的にしているのは主人公キョンのモノログを大きく前面に出しているところだと感じています。
日本という国は"恥"の文化と言われております。
対して欧米諸国は"罪"の文化というものが根底にあると言われています。
また、日本は非常に特定の集団に対する帰属意識が高いというものも何となく感じる方も多いのかもしれません。
普通であることが良いこととされ、
そうでない者は排除される傾向にあると感じます。
その排除された者は大抵"ぼっち"という分類をされ、
"人並みに"又は"普通に"生活する者が良しとされます。
そうでないものは"変"であって、
"恥ずかしい"こととされるのも多いかと思われます。
まずこのハルヒシリーズの全体的な物語の流れとして、
"普通の"主人公が他の"変な"登場人物達に巻きこまれていくというものがあります。
ここに特徴があるのが主人公が特筆する様な努力も無しに"面白い"状況に巻き込まれていくのです。
ですが現実世界ではどうでしょう?
"変"であるという分類をされれば、それを払拭するのは容易なことではありません。
"面白い"ことをするにもどうしたらいいでしょうか?
頑張れば"普通"では無くなり"恥ずかしい"思いをするかもしれない。
そんな縮図をこの一連のシリーズでは感じました。
ですがこの作品では"面白い"ことを引き起こしてくれる要因が消失するのです。
これは面白いと感じました。
現実世界ではこんなアニメに登場するような個性豊かな人物に出くわすことは難しいです。
"普通"であることに執着すれば"面白い"ことをするには出来ることが限られる。
ですがもしそれが一個人の責任ではなく「皆もやっているから」という理由で片付けられたら楽ではないでしょうか。
大抵の方は部活に入り複数名での競技に打ち込むこともあるかと思います。
ですがそうでない方はどうでしょう?
マイナーな競技に打ち込む方は大抵"変"という分類をされてしまいます。
そんなことをする時点で"普通"ではなくなるのです。
劇中ではハルヒの消失を天国(普通)と地獄(普通でない)を対比していましたが
これも又、普通であることの意識が反映されているのではないのかと感じました。
では、キョンの最後の判断はどうでしょう?
彼はついに自身の意思を持って普通で無い日常を選びます。
当たり前ですよね。
そっちの方が面白いんだから。
こんな彼の決断を見ると
普通であろうとする"建前"を遂にぶち壊し、
自身の選択によって日常を良いものにしようとする決断は私達の日常にも反映できるものではないのかと思いました。
劇中におけるハルヒとは
私たちの好きな"モノ"の象徴ではないのかと僕は感じます。
ハルヒと共に生活することを選択すれば
あなたは"普通"の分類から外されてしまいます。
ですがどうでしょう?
そんな分類を抜け出したところにあるのは絶望や悲観でしょうか?
面白いことを求めるのは普通でしょう。
ですが自身の嗜好を突き詰めればそれは"普通"ではなくなる。
じゃあ、普通って何でしょうか。
あなたにとってのハルヒは何でしょう?
普通であることを捨てても構わないと思えるほど好きなことがあればそれがあなたにとっての"ハルヒ"ではないでしょうか。