おかず台 さんの感想・評価
4.1
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
スマイルの良さが発揮された劇場版
個人的劇場版プリキュアの最高傑作はフレッシュの『おもちゃの国は秘密がいっぱい!?』なんだけど、それに勝るとも劣らぬ素晴らしい映画だった。
映画のあらすじを分かり難く例えると、「月打」された絵本の主人公たちをプリキュアが条例執行する話。
牛魔王たち悪役が助けに来るシーンとかまんま『月光条例』だった。
あのままだと物語が消滅(デスアピア)するんですね、分かります。
もうちょっと分かりやすくいうと、全ての物語を終わり無い物語にしようという魔王「ミヒャエル・エンデ」の野望。
プリキュアファンに分かりやすく例えるとスマイル版「おもちゃの国は秘密がいっぱい!?」。
二重の意味で映画の始まりは幼い頃のみゆきから。
ここでなぜみゆきが笑顔やハッピーエンドにこだわる様になったかが語られる。
そしてOPは恒例のTV版主題歌+映画オリジナルシーン。
前期OPのプリキュアアクションを絵本展へアレンジ。
もうこれだけで素晴らしかった。あまりに素晴らしくて出だしから半泣きで見てた。
ニコが最初に登場した時、(魔王の)影に操られた金角・銀角に追いかけられてたけど、これ自体がニコ・魔王の罠だったんだろうなぁ。
後の展開を見ると「絵本の世界を体験できる」と言うのも話を滅茶苦茶にするからやっちゃいけないことだったのでは。
ところどころ素振りが怪しげだったり、みゆきたちを送り出した後「やっぱり約束覚えてないんだ……」とつぶやくのも上手い。
最初に会った時に、「お互い覚えてないのかな?」と思わせておいて、しっかり覚えてるニコ。
自然とこの後の展開が気になる。
個人的に思う『おもちゃの国』との最大の違いは、この事件の原因・動機は半分くらいが主人公であるみゆきに有った事。
おもちゃはそれぞれの持ち主だったけど、こっちはみゆきとニコ&魔王が中心になってるんだよね。
「一番悪いのは絵本のページを破った人間」とツッコんではいけないよ!
その辺スルーされてるんだよね(苦笑)
そして戦ってピンチになって、ウルトラライ……じゃなくてミラクルライトで応援して、やっぱり最後は魔王を倒すのではなく、魔王を救ってハッピーエンド。
ただ、この最後の救い方がちょっと強制浄化っぽくも見えたり……。
「暴力を取り上げて優しく諭す」って感じなのかな。
ニコの絵本は、「みゆきが中心に続きを考えて、それをやよいが形にするのかな~」と思ってたけど、違ってた。未来は自分で掴み取ってた。
そうだよね、人から与えられてたらダメだよね。
途中何度かみゆきが曇ってる時は顔を映さなかったり、最後にニコに「大好き」と言われて泣き出す所も上手かったなぁ。
この映画でも語られたように、「ウルトラハッピー」は「みゆきが自然に思ったこと」じゃなくて、「経験から学んだ信念」に近いから、こういう場面で出てくる表情・感情がある意味「素のみゆき」なんじゃないかな、と。
それにしてももし魔王の野望が完遂していたら、ニコと完全融合して「ニコちゃん大魔王」になっていたんだろうか。
「笑顔をなくしてやるんだがや!」
なんて恐ろしい……!