らしたー さんの感想・評価
3.4
物語 : 4.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
この、不思議な魅力
気合入れて観るような作品ではない。井上喜久子のナレーション効果もあって、特に序盤などは、あたかも環境アニメのような印象さえ受ける。
登場キャラたちもお人形さんみたい。
いわゆる顔の半分が目でできているような、ある意味で意図的に曲解した極端な萌えキャラなのだが、今から思うと、だからこそ表現し得た空気というのがたしかにあって、良質の寓話を読んだとき感じるのにやや似た、独特の余韻を残す。
ジャンル的には、まあ日常系なんだろう。
しかし、淡々と流れるその「日常」という名の時間が、いかに大変で、過酷で、嬉しくて、得難いものであるか。びんちょうタンの頑張りを通じて静かに力強く伝わってくる。
生きてるだけで丸儲け、か。
口で言うのは簡単だが、そのなんと力強きことよ。
評価点的には申し訳ないがそこまで高くはならない。
しかし観終わったあとに何かが残る作品であるし、自分にはこのアニメが紡ぎ上げた世界に、一貫してブレない表現者の姿勢を感じとることができた。
監督さんはいい仕事したんだと思う。
世の中を難しく考え過ぎちゃう時にふらっと寄ってみると良いかもしれない。
もしそれで焼き芋の上品な食べ方しか記憶に残らなかったとしても、それはそれで無駄ではないだろう。
…と一度はレコメンドしてみたものの、これ、そうじゃないな。
これは、そう、自分が観れば、それでいい、そういう物語。
(2013/6/15更新)