メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 4.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
渚、3度目の高校3年生からがスタート――感じ方がすべての家族のものがたり。
ぜんたいには、実に平坦で平凡な舞台装置だけれども、脚本、演出などが優れていたのはいうまでもないし、丁寧に家族の物語を描いていればこそ、できあがった作品である。
さて、渚が3度目の高校3年生を迎える「10話はじまりの季節」からがアフターストーリーは本格的に幕を開ける。それまでは背景説明にしか過ぎないといってもいいだろう。
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渚は自己の置かれた立場に対して前向きであることに比較して、朋也は進路決定することもなく、高校生活を終えようとする。(今の時代感覚だとそのままニート決定だ)
(※朋也への献身的ともいうべき渚の言動とストーリーの流れに不自然さを覚えなければこの作品への没入は完了だ。)
はっきりとしない朋也ではあったが周囲の温かい手で、芳野の紹介に仕事を得る。
(現在の状態であれば、運が良すぎる。やる気のない人間に仕事はない)
仕事に邁進する朋也は勤勉だ。そして、朋也と渚の距離感が縮まっていく。社会人としての自覚がそうさせたのか。彼自身の中に自信にようなものが生まれているように見えた。そして、ふたりの新生活がスタートする。
ふたりの間には、子。
(このあたりが中核なのでネタバレでも省略)
そして、その子「汐」をめぐる新しい家族の物語が始まるのだ。その汐が亡き母に声をかけて幼稚園にでかける姿は痛々しい。(絵に描いたような、ステロタイプ!!)
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正直言えば、こういう話は得意ではない。わざとらしいという気もする。涙を誘うと知っている作品を選んで観るタイプではない。
ゆっくり見てしまうと、{netabare}渚の死{/netabare}も予想できるであろうし、汐の存在や、渚との生活で持ち直していく朋也の姿も想像できる。それはこの作品が人間を見つめる温かい視線で構成されているからに他ならない気がする。陳腐といえば陳腐なのだ。わかっているのに、嗚咽がとまることはなかった。
蛇足とも思える22話、自分では肯定、否定半分づつ。アニメなので30分枠構成が必要なのだろうが、自分の中での収まりの悪さはいまでも残る。省いてもよい回だった気がするからだ。
アニメで家族を描いた作品としては、真の傑作のひとつだろうとおもう、この作品がベンチマークになってそれを超える作品がいつか出てほしい気がする。商売的にはニーズはそれほど大きくはないとは思うのだけれども。
一方、キャラクターデザインなどが特徴的すぎるので、それだけで敬遠されてしまう場合もあるという懸念もある。わたし自身がそうだった。
キャラクターの性格付けが日常的な人物というせいもあるかどうかは別として、素直な作り込みだけどおもしろみのある作り込みではないと感じるのも正直なところかもしれない。
振り返って考えると、わたしの視聴スタイルというのも関係したのかもしれないが、一気観でなかったら、途中でやめていたかもしれない。10話までで。
■蛇足
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※時間のないリアル友達になら、10話以降からを薦めると思います。
※誰がかわいそうだとか、境遇が不幸だとか、そういうことは感じ方のひとつであるが本質ではない。というのはわかるのだけれども、やはり言葉が足りない。
メモ:
今後も書かないと忘れてしまいそうなのでちょうどいい機会なので記しておきます。
本作のレビューは何度も書こうと思ったもののどうしても書くことができなかった。レビューを拒むほどのできだったのか。どうもはっきりしない。
ただ繰り返し観るかと問えば、自分の場合、それはなさそうだ。好きすぎる方たちには申し訳ないですが。
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