ローズ さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.0
作画 : 2.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
アイアンメイデンには名曲がいっぱい
学校に行かず家に籠っている桜田ジュン(さくらだ じゅん)はパソコンを使って色々な変な物を通販で買うと思いきや、クーリングオフという返品制度を使っての業者に対して嫌がらせとしか思えない事ばかりを繰り返していた。
重厚な鞄の中にアンティークドールが入っており、ネジを巻くと言葉を話したり自分から動くようになる。
人形の名前は真紅(しんく)といい、ジュンが状況を確認できないでいるうちに他の人形から襲われてしまい、ジュンは真紅と契約をして一緒に生活をするようになる。
他の人形達も現れて、ジュンはアリスゲームという人形同士が争う戦いに巻き込まれていく事となる。
この作品の魅力は登場する人形の性格が各々違っていて、確固たる個性があるところだと思います。
・冷静沈着な真紅
・子供っぽい雛苺(ひないちご)
・性格が素直でない翠星石(すいせいせき)
・真面目で実直な蒼星石(そうせいせき)
・冷酷で残虐な水銀燈(すいぎんとう)
この中でも水銀燈の描き方が上手です。
プロレスでは正義の味方のような役割を「ベビーファイス」、悪役を「ヒール」という表現をしますが、水銀燈の悪役に関しては徹底しています。
水銀燈が一人で悪役を引き受けていますが、その悪役が憎たらしいほどキャラが強いです。
水銀燈のおかげで、他の人形たちは それぞれの個性のほかにベビーフェイスという色付けされています。
第五話の作画は崩れる場面が多いです。
アンティークドールというリアリティーのある人形を使っているので、力が入っている作画との違いがハッキリとしています。
全体的に作画が優れていると思うので、余計に目立ってしまいました。
故意に抽象的な表現をしている事は分かっているのですが^^;
日本の伝統芸である人形浄瑠璃(文楽)は、3人の操る人間によって人形に魂が込められます。
どんなに高価な材料を使って絢爛豪華な人形を作成したとしても 魂のある人形には足元にも及ばないでしょう。
仏像の場合だと『仏作って魂入れず』というように表現されるのでしょうが^^;
誰しもが完全や完璧を目指しています。
簡単にはたどり着けない未踏の地なので様々な困難があります。
一度や二度ぐらいの挫折などで諦める事は楽にはなりますが、ただの逃げでもあります。
自分は完全・完璧な人間はいないと思っていますが、そのような存在になろうとする努力自体の価値がかけがえのない物であり大事なのだというメッセージを本作品から受けました。
聖人君主のような完璧な存在よりも 多少の不完全さがあるほうが人間味があります。
自称・神などという人もいますが、怪しい匂いがします。
何の努力もしないで簡単に完全で完璧な人間になれるという宗教の勧誘などの胡散臭い話には注意したいですね。