るぅるぅ さんの感想・評価
4.6
物語 : 5.0
作画 : 3.5
声優 : 5.0
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
人に相応しき生と死をか・・・
全110話 原作 田中芳樹
ジャンル:SF小説
観終わって伝えたいこと書きたいことが多くあるが整理できかねるのが本音。それだけ重厚な内容で至福の時を過ごせたことは間違いないが、紹介する上でこれからの世代(中高生を問わず)が興味を持つアニメであるのか考えてしまう。
現在のアニメジャンルは多岐にわたるが、その中枢は萌アニメがこの市場を彩っていると想う。萌アニメの火付け役がエヴァンゲリオンに始まり、その幅は拡大しほぼ全てのジャンルに組み込まれている。例えとして、このサイト1位の”とらどら!”大河のツンデレ、みのりん、あーみんが可愛いとキャラを愛でる、これもキャラ萌えと言葉にしなくとも萌が含まれている。視聴者により多く支持されやすい形にと移り変わり・子供向けアニメから社会の形態に対応した結果なのかもしれない。だから、深夜アニメが日常になっているのだろう。
実際、深夜アニメにする必要がないアニメまで放映する意味あるのかと考えたりするが時代の流れには逆らえないのだろう。
そして萌アニメが多くなり内容が薄いアニメばかり増えているように感じる。ある程度の内容があれば私は満足するが、最近は惰性で観ている節が多い、そろそろ面白くなるかな? と無駄に期待して、気づいたら終わり。と、虚無感が押し寄せて来る。
どこまで期待値を上げずに視聴するかにかかっているのだろう。アニメの良し悪しを探し冷めた気持ちで寂しく感じる日々もあり、ストーリー重視で観ていることに問題があるかもしれないが、食わず嫌いで全て真剣に観ることが耐え難いと痛感した。誤解されると困るので綴りますが、萌アニメが嫌いとかそういう話ではないのでご了承ください。ただ、少し疲れただけw
そんな折に”銀河英雄伝説”と出会った。
1話からクラシック音楽の艦隊戦・一撃必殺もない戦術のみと衝撃的な始まりに凄く地味だが惹かれた。 SFといえばロボット無双で大層な大義名分で勝った、負けたの繰り返し、もしくは壮大な伏線を張り巡らし後半引き込まれる、世界観と適度なシナリオで引っ張る作品と想定していたところが大きい。
物語は、専制政治と民主共和政府どちらの時代に委ねられるのか歴史物。政治背景を元に国家事情・宗教思想・倫理観・軍事(戦略・戦術)を絡ませた人間ドラマ。
内容から取っ付きにくい社会要素を詰め込んでいる様に見えるが特別難しい言葉を話すことは無い。屋良有作さんのナレーションもあって状況把握しやすい。また、アニメとして絵で見せる利点もあって意味不明と想うこともないはずです。
演出は淡々と描かれ退屈と感じられると視聴が辛いかもしれませんが、それが安定した作りで駆け足な展開もせず作り込んでいるから無駄な話が無くストーリーに引っ張られる。
楽しみ方としては、キャラの思考を想像し観ていたので全く飽きなかった。ある程度観続けると主要人物もわかり、生き方に惹かれながら観る面白さもあって、死亡フラグになって死んでしまったw とか、くだらない脳内シュミレーションしていましたね。それだけ登場するキャラに深みある魅力が政治背景をリアリティにしている。
リアリティな目線にふけると今の現代社会と照らし合わせて観る上でも面白い。腐敗した政治家・国家とあからさまに描かれ観る世代によっては苦笑いしてしまうだろう。
話が進むほど丁寧に個性を掘り下げ味ある人物に育ち、銀河帝国・自由惑星同盟の垣根を越えた互いを認め合う武人の勇ましい心。そして部下各々が誇り・忠誠を捧げるラインハルト・ヤンの人望には国家では謀れない一個人の存在価値について考えさせられる。言葉のセンス使い方が格好よく心に響き訴えかけられる。
ストーリーは後々関連付け展開も読めてくるが、とりあえず先が気になって仕方なかった。
最後の結末は、辛辣な試練として素晴らしい締めだった。
{netabare}110話 カリン「バーラド政権は民主主義の手に残るのね、そう、考えてみるとたったそれだけなのね。」
たった、それだけを成す事が、どれだけの時・人の犠牲の上で成り立つのか人の愚かさ・志を掲げ戦った道のりを顧みると味気ないが、何かを変えることは容易ではないことを伝えている。{/netabare}
作画は仕方ないが、アニメに歴史物を織り交ぜた質の高い作品として忘れられることはないだろう。