こたろう さんの感想・評価
3.8
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
良食材でも調理してないと美味しくない(やや酷評)
小説原作、ファンタジー系。
wiki等で調べると、小説といっても、元々は即興で作られWeb上で投稿されたものを再編してメディア化されたとか。
魔王と勇者、設定上の永遠の敵である両者が手を携え、世界をどう平和に変えていくかの奮戦を描いたものです。
魔界最大の権力者である魔王。
この世界でほぼ無双の戦闘能力を持つ勇者。
この両者が一丸となってるんだから簡単に実現できそうですが、そう単純ではありません。
政治、経済、宗教、科学、医学、教育、身分。いろんな面からのアプローチが必要となります。
内容としては非常に興味深いです。
人間vs魔族というファンタジーな構図になっていますが、実際は現実の戦争や経済の理論に基づいた設定。
中世期の世界情勢に照らして、「こうしていれば」「ああなっていれば」というシミュレートをするような内容となっています。
ものすごく深みがあって面白いエピソードがいくらでも作れる世界観は素晴らしい。
キャラクターも、魔王・勇者・その他大勢、魅力的で好感が持てる人物が粒揃いです。
特に勇者とのラブラブモードの魔王が可愛すぎます(〃'▽'〃)
台詞まわしも粋な表現をしており、会話を見るのが楽しい。もともと小説が会話中心に構成されているようなので、あたりまえといえばあたりまえなのですが。
とまぁ、非常に魅力のあるキャラと設定なのですが・・・
1クールのアニメ作品として本作をみると、ダメなところがいっぱいありすぎでした。
まず、全体の構成。
いくらなんでも、大量のエピソードを詰め込み過ぎです。切りのいいところまで進める必要はあるのでしょうが、、いくらでも区切りどころはありそうなものです。
ですが本作、1話1話で情勢が進みすぎて落ち着きません。正直、ここまで早足で進めた意味がわからない。
深堀して膨らませれば面白くなりそうな要素には事欠かないのに、そういうオリジナル性を持たせるのを放棄。筋書きを追いかけるのに終始してしまっています。
{netabare}
「丘の向こうをみる」という目的に行き着かず、どうせちゃんと完結しないのであれば、南氷将軍を倒すあたりが区切りどころ。冬越し村でのエピソードや勇者の魔界の冒険を描けば充分面白かった思うのですがねぇ。
評判がよければ、それこそ2期製作ということにすればいいのに。
{/netabare}
それと会話意外の演出がしょぼい。
せっかくのファンタジー、最強勇者がいるのにバトル部分での見せ場は殆どなし。回想的に語られるのみです。(原作がそんな構成なので忠実なんでしょうが)
また戦争を扱っている割に、戦術や戦略面の見せ方も盛り上げ方も不足。
行政改革や技術革新についても、映像的な表現を絡めて解りやすい解説や、それにまつわるドラマが欲しいところですが、そんな配慮はありません。
大抵が会話による状況説明。それはそれで1つの演出手段でしょうが、せっかくのアニメ、映像作品なんだから工夫のしようはいくらでもありそうなものです。
とってもいい素材。
手をかけて調理すれば絶品になるのに、生のまま皿に盛り付けられた料理のようで拍子抜けしました。
そんな勿体無い感じでいっぱいです。
ほんと、惜しいなぁ。どーしてこんな作り方しかできなかったのか?