2S-305 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
迸りまくってます!
BD-BOXにて視聴。
特異な風貌から誤解されがちな主人公「高須竜児」とその凶暴さから「手乗りタイガー」の異名を持つぶっとび少女「逢坂大河」、その親友であり竜児の思い人である不可思議少女「櫛枝実乃梨」、さらに現役モデルで屈折した2面性を持つ美少女「川嶋亜美」が織り成す三角関係+1青春ラブコメ。
軽妙でありながらそれぞれのキャラクターの感情の発露が絶妙で、これぞラブコメの王道ともいうべき作品で青春パワーが迸りまくっています。
なんとも初々しくもあり、もどかしくもあり、見ていて恥ずかしくなってしまう場面もしばしば。
上級生の教室にカチコミいれたり、女の子のキャットファイトやらものものしいエピソードもあるのですが、なぜか清々しく感じてしまいます。
その理由としては、感情移入しやすいストーリーと、それを際立たせる演出が秀逸であるからに他なりません。
いやぁ、実に良いアニメですね。他の方の評価など関係なく、私は好きです。
とはいえ、一歩引いた視点で見てみると難点がないわけでもありません。
ひとつは、メインヒロインの大河が、超然的に過ぎて、心情描写も含めて「アニメのキャラクターの域を脱していない」こと。
正直「大河」の行動原理だけは、理解不能な点があり、基本他人のための「自己献身」なのですが、浮世離れし過ぎて、他のキャラと比して等身大のキャラとして感情移入するにはかなりの脳内補正を要すると思ってしまいました。
加えて、「実乃梨」が主人公に惹かれていく過程の描写が乏しく、「亜美」や「大河」が惹かれていく経緯は丁寧に描かれていたように思いますが、「実乃梨」だけはなぜか既成事実的に「竜児が好き」状態になっていたように思え、「あれ?」と思ってしまいました。
また、「ドロ」っとした嫉妬や愛憎劇は控えめで、作品の「さわやかさ」をスポイルする一線を超えるような人間っぽい生々しさに至る前に、適度に「良い人」にとどまるよう描かれているように思えました。
この辺りは「true tears」あたりの方が見応えはありますが、あえて避けることにより、より一般受けを狙ったとも言えるでしょう。
ラストも悪く言えば、予定調和的な感じもしなくもありません。
とはいえ、斜め上の視点であえてアラを探すような見方をしても、やっぱり面白く、逆に言えば、上記の難点ともとれる点がこの作品の「美点」にもなっていると言えるでしょう。
さらに特筆すべき点として、主人公ハーレム状態ラブコメで主人公に苛立ちをあまり感じない作品というのは稀有であり、ヒロイン軍団の魅力のみならず、主人公「竜児」のキャラの魅力が非常に大きいと言えると思います。
なんだか応援したくなるキャラですね、竜児は。
とにもかくにも見ている方がこっぱずかしくなるほどの「青春の迸り」を実感・共感できる、数あるラブコメアニメの中でも最良の作品の一つといえる傑作だと思います。