ローズ さんの感想・評価
3.6
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 2.5
音楽 : 4.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
wrong wrong ago
ボードレールの詩集『悪の華』を愛読している中学生・春日高男(かすが たかお)。
ある日、春日は放課後の教室でクラスのマドンナ的存在の佐伯奈々子(さえき ななこ)の体操着を盗んでしまう。
春日の行動を一部始終目撃していた仲村佐和(なかむら さわ)に「変態」や「クソムシ」と言われ、体操着の秘密を守る代わりに様々な要求を突き付けてくるようになる。
ロトスコープという実際の映像を複写してアニメを作っているので、他のアニメ作品の画とは雰囲気がかなり違っています。
「アニメじゃなくて実写でもいいのでは?」という意見もあると思います。
ただし、作品の内容が現実的で実写のドラマだったらクレームがくるような気がします。
「それなら抽象化したアニメ化にしたらいいのでは?」と考えてしまいますが、そうする作品からと現実感が無くなるとまでは言いませんが減る事は確実でしょう。
ロトスコープという技法を使って現実感を持たせてアニメ化する事はギリギリの選択だったように思います。
作品の内容は子供から大人になる過程の思春期を過剰に描いています。
主人公である春日がボードレールの詩集を愛読して「俺は周りにいる人間と違う」という自意識過剰な考え方は、まさに思春期特有の考え方でしょう。
普通の学生として佐伯、異常な学生として仲村が描かれています。
現状に満足できず本の世界に籠っている春日としては、今ある現状を受け入れる存在である佐伯と現状を真っ向から否定する仲村の存在の間で心が揺れ動いています。
学生時代の悶々とした気持ちを表現するにはボードレールの詩集だけでも良かったのですが、物語に起伏を持たせるには佐伯と仲村の存在が欠かせないのでしょう。
思春期漫画の最高傑作という表現は言い過ぎです。
話の展開が普通の作品とは違うので異色な作品だと思いますが、思春期がテーマの作品であれば探せばいくらでもあると思います。
ただ、漫画にした作品が少なかったというだけかな。
今までアニメを観てきた人には、作画やストーリーなど違和感が多い作品であることは間違いありません。
ただし、萌えキャラ登場やハーレム展開など、今までと同じような作品ばかりでは現状維持するのが精一杯でしょう。
賛否両論ある作品であると思いますが、問題提起するには十分な作品だったように思います。
理論が分かっていても実際に実験をして結果を見るということをしなければ、科学の発展はありません。
良い悪いは別にして、実験作と考えれば、ある程度許容できる範囲の作品であると思います。
実験が成功したのか失敗したのかは、誰が決めるのかは分かりませんが^^;
作品内容だけでなくOP曲とED曲のインパクトもバツグンでした^^