チョビ髭 さんの感想・評価
4.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 4.0
キャラ : 2.0
状態:観終わった
ようやく視聴完!!
萌えギライからこれまでどうしても食指が伸びませんでしたが、見かねたのか友人から強く勧められ視聴。
確かにこれは傑作と呼ばれるものだと遅ればせながら同感です。
この作品の魅力は一次元的、表面上のストーリーに魅力があることもちろんですが、もうちょっと抽象的に俯瞰すると、人生の理といった哲学指針があったと感想を抱かせる事に成功している奥行きにもあると思います。
類似作品で言えば、ハガレン、ガンダム類と同様な満足感を得られます。小説では村上春樹でしょうか。(1Q84今更になりようやく読んでます^^;)
村上春樹作品は抽象的に問題提起し解決してみせるのかと思いきやヌルッと、アンニュイに話をぼかす天才ですが、こちらはビシビシ問題点を挙げ誤解答用紙で頬をはります。この辺、萌えギライでSっ気の強い私には爽快でしたが登場人物に感情移入し、救いようがない(泣)とか、ストーリー展開のため使われたキャラに(怒)といった感想が適切かも知れませんが。
私はまどか声優の表現は故意にストレスを加えていたと感じました。魔法少女に変身した時と悩んでいる時、すなわち戦う決心をした時と逃避している時の声の表現なのですが、スパンキングの誘いかと思えました。
まぁそんな視点以外でも核になっているのは、因果応報とモノリスをパラレルワールドでつむぎエンターテイメントに昇華した作品といえば軽い萌え作品でないと感じてもらえるかと。
特筆していたのはやはり演出でしょうか。中でも背景は最近のアニメ作品とは一線を画してます。細部まで描くとか光のエフェクトとか頑張ってる会社もありますが、何というか、モダンとか前衛的とか印象派とかそういったアート領域に達してます。
ストーリーで躓きそうになった箇所を振り返ってみますと、
※ケチになりかねませんので、ご考慮下さい。{netabare}
・魔女は何故ああもやすやすと魔法少女に手玉に取られるのか?
・因果応報という理由でおとずれたのであろうワルプルギスの夜とはいったいなんだったのか?
これほどまでに因果率が集約されることはないと、まどかの存在を理由付けしたのに夜の後あらわれた新たな敵はなんだったのか?構図としてはほむらの敵がワルプルギス、まどかの敵が宇宙規模的因果を持つ敵になっていたがあれ等も一人の魔女だったのだろうか?
この疑問を埋めるピースがモノリス。我流考察{netabare}
【願いと絶望】キュゥべえとはモノリス
モノリスとは映画2001年宇宙の旅に出てくる概念であり同時にそれを具現化した装置です。
ごちゃごちゃ考え、導き出された答えはキュゥべえとの契約には魔法少女から魔女になる因果が生まれる。それはモノリス同様新たな世界が広がる(生み出される)とも理解できる、と自身を納得させています。ほむらの生み出した絶望がワルプルギスでまどかの絶望は宇宙規模的-になるのかと。まぁ辻褄はあったかな?
前半部の魔女は魔法少女のなれの果てでラストの二つは絶望そのものである、ということなんでしょう。ワルプルギスはほむらが契約する以前から出現しますが時間率の能力を手に入れたのですからイレギュラーも納得できます。ほむらの絶望をまどかが倒してしまった事によりほむらの願いもまた無効化される。切ないですねぇ。でもきれいなロジックです。絶望と戦っている間こそ希望(願い)があるというまどかの最後のメッセージと折り重なります。
因果応報が主題かと思っていたところに希望と絶望が最後に現れる。クラシック音楽でのテーマの変換の様です。虚淵さんですか覚えておきます^^{/netabare}{/netabare}
傑作とは傑出した作品、すなわちその他との差による奨誉。ならばこの作品は。
魔法少女という概念に、主人公が生身であったらといった擬人化によりシリアスな痛みのカウンターを打ち込む、これが目新しかったのだと思います。(萌え成分で視聴者を前掛かりにしたところへ)
何時、誰が最初とか知りませんが「伝説の勇者の伝説」「シュガーラッシュ」なんかは概念を解釈した同種の“ジャンル”といえるかと思います。
概念を使っての萌えのハーレム展開は、かなり幅広く似た考え方が散見しますし、既存の概念(もしくは作品)×コミカル、シニカル=パロディとも近しい関係でしょうね。
どれも同人誌的でサブカル的でもありますが、なんとなくそれらといっしょに括られたくない、そんな気持ちにさせられます。そしてそれこそが傑作と私に言わせる本質の様にも思います。
余談ですが私はこのジャンルに名称があれば他と区分けすることが出来ると思うのですが適切な言葉を知りません。とりあえずパラダイム系と呼んでいますが詳しい方いましたら教えて下さい。