雷撃隊 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
平成版ビューティフル・ドリーマー
小説1冊を隈なく忠実に映像化。突っ込みどころが無い。映画館で見たとき感動で震えがきた。今回はハルヒじゃなくて長門がメインのエピソードだが、キョンと長門の交流が恋愛とも友情とも少し違い、神聖な愛情でとてもいい。都合がよく不条理なんか存在しない世界でも仲間と共に築き上げた思い出を大事にするキョンの決断が男らしい。やはり仲間って一生ものの宝だよね。SOS団のメンバー幸せものだよね。ちなみにとっくに社会人になった自分は朝比奈さん大人版に共感しまくりで、彼女のセリフ1つ1つに説得力を感じた。同窓会なんかであんな気分になります。
さて、もう1つの感想(というかここからが本題)だが、本作は「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」という映画と多くの共通点をもつ。でも質の悪いパクリや劣化コピーなんかじゃなく現代的な解釈による良質のリスペクトだ。不条理や不都合の無い世界、けれども現実ではない狂った虚構の世界。主人公たちはやはり仲間と積み上げた人生を選び現実への帰還を選ぶ。サティーの音楽の活用や風景描写とかかなり影響をうけている。ハルヒという作品が「平成版うる星やつら」といって差し支えないのでこの選択は絶妙だ。現代の哲学とも言える深いテーマだ。下手な芸術映画や芸能人の追っかけ相手のドラマより100倍面白い。やはり日本映画で元気がいいのってこのジャンルかも。
キャストに関しても文句なし。平野、杉田、茅原、小野、後藤のいつもの面子の掛け合いは最高。背景や美術も絵画的な完成度だ。音楽もファンお馴染みの曲+クラシックで文句まなし。けなすところのない映画でした。
平成生まれの方、「うる星やつら2」と見比べることお勧めします。きっと新たな発見があるはずですよ。