メルヘン◆エッヘン さんの感想・評価
3.7
物語 : 4.5
作画 : 3.0
声優 : 4.0
音楽 : 3.0
キャラ : 4.0
状態:観終わった
最後に評価さえ覆る、とびっきりのボーイミーツガール。 短いので途中でやめないで!!
まず謝罪から。
ちゃちくて紋切り型で、えっと思いました。1話目でやめようかな。――最終6話目の落とし方には敬服しました。平凡な物語設定ではじまったからといって、ばかにしすぎないほうがいいと。これは自分でも大反省です。(^0^;)
「病院、不治の病/難病、10代の美少女」で、「ボーイミーツガール」で、使い古された舞台装置にのっけた作品と切り捨てる見方もできるでしょう。最初の30分の私がそうでした。
だけれども、皆さんご存知のようにそういった作品群、たとえば文字の「せかちゅー」とかも含めてスタンダードですよね。新味があるかといわれるとほとんどないってことなのだけれども。それと作品の評価はまったく別になるものですよね。
この作品の{netabare}難病から死への流れでもなく、死以降の話でもなく、時間をしっかりと生き抜いていくことを想起させるラストの作り込みには、
{/netabare}賞賛以外の言葉は見つかりません。6話後半でがらりと私の評価が変わったのです。そこにたどり着くまではたしかに単調でつきなみなストーリーです。ひとことでいって冗長で、二級作品の匂いすらしています。ひどいです。それが変わったのだから、たいしたものです。
短い作品ですから、機会をみて鑑賞してみてはどうでしょうか。
【作品内容について】
この作品はみごとな省略で作られているようです。「描かずに描いている」んですね。観る側の想像力に訴えているというとわかりやすいでしょうか。よくいわれることですが、それが月並みの仕事ではないのです。
{netabare}
おそらくこれまでの同じテーマの作品、アニメ問わず、おおきく二分できたと思います。
- 死までの時間を悲しむタイプ
- 死以降を悲しむタイプ
です。この作品が画期的なのは、いずれでもない、
死/別離までの時間を楽しむタイプ
という新しいスキームを提案してきたことではないかとおももいます。まさに、この作品の独自性を示す部分〝誤解があれば、フォーカスの当て方の独自性と換言します〟でもあるのです。
そして、その時間をまったく描かずに終えてくれたのです。
{/netabare}敬服するしかありません。
作者が最後の展開を当初から想定していたとしたら、天才的かもとも。アニメそのものは、低予算っぽいかんじがしましたね。ごめんなさい。
締めが月並みすぎて自分が情けないですが、
「今という時間をだいじに生きていくこと。」それをあらためて教えてもらった気がします。
最後に、ほんとうにありがとう。