らしたー さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.5
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
設定勝ち。これはアリだと思う。
呆れるほどマクロな宇宙規模のお話と、一転して卑近で猥雑な人間模様とがめまぐるしく入れ替わる振れ幅の大きい物語。お手軽ジュヴナイルでないのはたしかだが、鬱アニメだからというレッテルでスルーするのはちょっともったいないかもしれない。
●設定勝ち
この作品は言ってみれば完全な設定勝ちといえる。『バジリスク』なんかと同類で、物語の進行を支配する冷然たるゲームルールが存在し、その設定の秀逸さにまずは注目すべき。設定の大枠がつかめる3話くらいの時点で面白いことを確信した。
鬱展開で有名なアニメらしいが、あまりそういう偏見が飛び交うのもどうかと思う。たしかに救いのなさが際立つ作品であるのだが、必要以上に叙情的な視点で観るのではなく、すぐれたゲームルールに酔いしれる、という楽しみ方はどうだろうか。単純な足し算引き算で進行するはずのゲームにイレギュラーな要素が入るだけでここまで緊張感が出るとは驚きである。段階的にゲームのタネ明かしをしていく構成もお見事。続きが気になってしょうがない。
●バトルロワイヤル系と一線を画す手法
{netabare}人死が多い&わずかだが生き残る可能性がある、という点においてはある種のサバイバル・バトロワ系という見方もできる。だがそれら要素を用いた作品の多くが「次に誰が死ぬか」「どういう死に方をするか」を呼び物にしているの対し、本作は「何を思って死ぬか」をひたすら描こうとしている。無知・闘争・犠牲・諦観・贖罪など、各人各様の有様があり、それらに説得力を持たせるための手段として個人エピソードがあるという作りになっている。{/netabare}実はこれってあまりお目にかかれないタイプである。
●総評
爽快感とか大団円などとは無縁であることだけは断っておきたい。ちょっと悪趣味系をつまんでみたいという時に手を伸ばすと良いかも。
どうでもいいけど引きの絵になると途端に作画がいい加減になるのはいただけないな。丸に点々で顔とか手抜きすぎだろう。