クロッシー(・з・) さんの感想・評価
4.6
物語 : 4.5
作画 : 5.0
声優 : 4.0
音楽 : 5.0
キャラ : 4.5
状態:観終わった
切ない
本当に切ない。これに尽きる作品。
こういう作品は声優を使うべきか討論が必ず行われることなんですが、声優は演出を豊かにしすぎるという何とも優れているような欠点があり、僕は声優をむしろ使わなかったことにすごく良かったと感じました。
1話の桜花抄ではリアリティーあふれる演出ですごかった。
{netabare}とてもじゃないが電車の乗り換えシーンは本当によく再現できていて自分が向かいに行っているかのような演出はさすがといったところです。主人公がどのくらい会いたいのかを電車が止まるごとに表情を変える主人公の動揺などを見ればよくわかるようになっています。そしてようやく会えたあとでの話は夢物語のように本当に短かったのがすごくよくできている。お互いの気持ちを確かめるキスシーンなんかなんか夢を見ているような演出だった。{/netabare}
2話目はコスモナウト。{netabare} 主人公が関東から鹿児島へ引っ越すことになったあとの高校生の舞台が鹿児島での話。
鹿児島で出会った少女に恋をされるもどうしても主人公は初恋のあの子のことばかり気にしていて本当に打ち上げロケットみたいに一方通行のような構図ができてしまっていることに新たなる切なさがあった。ここでは距離が届くようで届かない切なさをよく描いているのではないだろうか。 {/netabare}
3話はもう言うまでもなく、畳み掛けと思いきや普通に良演出。一瞬一瞬が情景として現れるけどその一つ一つが切ない。本作のメインテーマとなる話。
個人的には男性目線が主に大きかったからだと思いますが見終わったあとの胸の締め付け具合が尋常じゃなかった。
大人になった今だからこそわかる初恋とかそういうものの儚さをうまく表現できていたと思います。{netabare} 最後の線路の伏線回収はさすがといったところでしょう。本当に振り返ったと見せかけていないというあのシーンは胸が痛いです。 {/netabare}
全体を通してやはり情景と風景の移り変わりが見て取れると思います。美しいと言ってはいけないと誰かのレビューには載っていましたが僕はこの一連のストーリーから時間と距離と空虚さと儚さをうまく美でもって作ったアニメだなと感心しました。新海誠さんこれからもいいアニメを作ってください。