入杵(イリキ) さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 4.0
声優 : 3.5
音楽 : 4.0
キャラ : 3.5
状態:観終わった
中盤までは素晴らしかった。感涙。終盤が・・・
本作は5pb.「STEINS;GATE」を原作に、2010年の秋葉原を舞台としたSF作品「STEINS;GATE」の続編として制作された短編である。よって、TV放送版を予め視聴した上でないと、全く理解できない。
TV版に取って付けた様な設定なので、TV版の結末に満足している人は敢えて見なくても良いかもしれない。続きの見たいファン、栗栖ファンは必見である。
あらすじ
{netabare}
いくつもの世界戦を超えてきた彼らの物語は、ついに劇場へと収束する――
「狂気のマッドサイエンティスト」を自称し、いまだ厨二病をひきずる大学生・岡部倫太郎。
秋葉原の片隅、「未来ガジェット研究所」で偶然、過去へと送信できるメール「Dメール」を発明してしまったことから、彼とその仲間たちは世界規模の大事件に巻き込まれることになる。
本作「シュタインズ・ゲート」は、タイムパラドックスにより引き起こされる悲劇と、それに立ち向かう仲間たちの絆を描く物語である。
{/netabare}
感想
TV版で岡部のやったリーディングシュタイナーを栗栖がやって、岡部を救うというのが話の本筋であり、序盤の導入も日常シーンから入り、中盤に向けてオカリンと栗栖との会話などで涙腺を刺激するなど、素晴らしい展開がサクサクと進んで行き、今後の展開に期待しながら観ていた。
しかし、PVで見せたシーンは、さわりに使われるのかと思いきや、序盤で消化してしまった。そして、栗栖がジレンマに苦しみながら、鈴羽との問答において岡部救出を決意し、岡部の少年時代へ向かう。ここでの岡部の厨二病設定の伏線回収は大変良く、その後の展開も申し分ないが、いよいよ終盤のラストスパートに於いて、栗栖が困難を乗り越え、R世界戦に居る岡部の元へ・・・と思いきや、一番大切なプロセスを吹っ飛ばして行き成り物語は終焉を迎えてしまった。90分という尺の問題もあっただろうけれど、もう少し上手く纏めて欲しかった。TV版の評価が高かった為、映画に過度の期待をしてしまった事や、シュタゲの魅力が聡明な設定且つ張巡らされた伏線を持つということで、映画は尺の都合で伏線が張れなかったといった点が落胆の原因だと思う。
過度の期待さえしなければ大変面白い。
総評
アニメSTEINS;GATEの続編としてはストーリーが平坦で起伏に欠けるが、栗栖の岡部に寄せる想いが十二分に伝わり、その素晴らしい演出は何度も私の涙を誘った。栗栖ファンであれば、誰しも泣いたことだろう。終盤は尻切れ蜻蛉感が否めない展開だったが、概ね良いと思う。