玄 さんの感想・評価
4.7
物語 : 5.0
作画 : 4.5
声優 : 4.5
音楽 : 4.5
キャラ : 5.0
状態:観終わった
きっと、大切な何かを伝えてくれている
2011年、個人的最優秀作品。多くの人に視聴されている名作なので、個人的感想をメインに書きたいと思います。
※微妙に書き直しました。まだ読んだことがない方は、読んでいただけると幸いです。
◆この作品で伝えたかったこと◆
{netabare}『過去は安易に変えるべきものではない。その現実を受け入れ乗り越える努力をすれば、新たな未来を開くことができるんだ。』
私がこの作品を観ていて感じたことがこれです。この作品は「タイムトラベル」や「過去改変」を題材に描かれていますが、私には「過去は安易に変えるべきではない」と言っているように思えました。
理由としては、後半のストーリー展開にあります。前半でタイムマシンの開発に成功し、ラボメンが思い思いに自分が望む現実になるように過去を変えていく。しかし、その先にはまゆりの死が待っていて、岡部がどんなに頑張ってもそれを止めることができない。結果、まゆりの死のループから救い出すために、今まで送ったDメールをすべて取り消さなければならなくなった。私はこの一連の流れから、「たとえ過去を変えることができたとしても、安易にやるべきではない」と言いたいのかなと感じました。
タイムトラベルものでは、しばしば過去改変が引き起こす現世界との齟齬などが問題になるようです。そしてこの作品では「まゆりを救うために」というある種の必然性をもって、変えた過去をもとに戻さなければならない展開に持っていっています。私は絶対に過去を変えてはならないと思っている人間ではありません。また、過去を変えたことによる現時間軸への影響を無視した作品も多くあります(アニメに限らず)。そんな中、これほどの強制力を持った、変えた過去をもとに戻さなければならないというストーリー展開に、メッセージ性を感じたわけです。過去は変えてはならないと。
けれども、ここで終わらないのがこの作品のすごいところで、最後にもう一捻り待っていました。クリスを救い出す場面です。
まゆりとクリスの命をめぐって苦悩する岡部に、その事実を知って自分の死を選択するように勧めるクリス。そして、背中を押されてクリスとの別れを選び、β世界線へと戻ることを決意した岡部。もう二度とクリスには会えないのか。100回に1度だけ思い出すようになってしまうのか。そんな悲しみに暮れている時に、未来から来た救世主は新たな選択肢を提示する。「世界を騙せ」と。
きっとこのシーンで伝えたかったのは、「諦めない限り未来はいくらでも変えることはできる」ということだと思います。現実では過去を変えることはできない。また、たとえ変えることができたとしても、過去は変えるべきではない。けれど、現実をしっかりと受け止め、それを乗り越える努力を諦めずにすれば、未来を変えることができる。新たな未来へと歩み出すことができる。そんなことを伝えたかったんじゃないかなと思います。
諦めない限り、未来は変えることができる。私も、世界の救世主になれるかな。{/netabare}
◆好きなところ◆
{netabare}この作品で上手いと思わせるのは、そのストーリーの面白さも然ることながら、キャラの心情表現です。他の作品では、「なんでこのキャラ、こう思っているの?」と疑問に感じることが多々ありますが、この作品ではそんなことはありません。
岡部がまゆりを助けるのに必死になるのも、岡部とまゆりの間にある友情も、クリスが岡部に徐々に惹かれていくのも、まゆりとクリスとの選択で苦悩する気持ちも…どれもよく理解できます。何度も何度も積み重ねた時間が、一つひとつのエピソードが、胸に染み渡るように伝わってくるんですね。
だからこそ、キャラに対する感情移入が容易にできます。この作品のキャラデザインは、はっきり言って好きではありません。でも、キャラクターは大好きです。なぜなら、その気持ちがよくわかるから。
と言うことで、好きなキャラの紹介をしたいと思います。
{/netabare}
◆好きなキャラ◆
{netabare}クリス:牧瀬 紅莉栖(今井麻美さん)
ほんとルックスはまったく好きではないのに、そしてツンデレなのに大好きなキャラ。私には大変珍しいことです。思わず思っていることと反対のことを言っちゃうところや、照れた表情や仕草がかわいい。
『いつもじゃなくてもいい。100回に1回でもいい。私のことを思い出して欲しい。そこに私はいるから。1%の壁の向こうに、私は必ずいるから。』(第22話)
まゆり:椎名 まゆり(花澤香菜さん)
こちらも見た目はまったくタイプではないが、好きなキャラ。ラボメンのことを誰よりも大切に思っている優しい性格や、岡部との深い絆がとてもいい。
『前はオカリンの顔を見れば何考えてるのかわかったんだけど、最近はわからなくなっちゃって…。』(第21話)
あとは、岡部、ダル、鈴なども好きです。
{/netabare}
◆まとめ◆
以前にどこかのランキングでも書きましたが、私があにこれを始めて出会った中で、一番よかったと思えた作品です。そのストーリーの面白さはもちろん、キャラの感情表現の上手さやメッセージ性のある内容も魅力的です。
ストーリー、恋愛、ギャグとバランスがよく、おそらく多くの人が楽しめる作品だと思います。これから観られる方は、退屈に感じられる前半をどう乗り越えるかが視聴のポイントになるでしょう。
文句なしで「七神」を担う神アニメなので、ぜひ見てみてください。私は必ず、また観ます。
長文&乱文でしたが、最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
◇余談◇
『アンソロジードラマCDについて』
※シュタゲのドラマCDの紹介です。興味のある方はどうぞ。
{netabare}①STEINS;GATE 幻視空間のリユニオン(2012年1月販売)
1.紅莉栖、コスプレに挑戦? 2.ラボの休日 3.キャストコメント
②STEINS;GATE 夢幻泡影のバケーション(2012年9月発売)
1.1章快感秘宝のボディピロー 2.2章絶海孤島のカンポトフ 3.3章竹輪蒲鉾のプロフェシー 4.キャストコメント
これらは映画制作前に作成されたもので、ラボメンたちの日常が描かれています。1枚目がクリスがコスプレ大会に参加する話、2枚目が海で夏合宿をする話です。
どなたかがキャストコメントでも言われてましたが、笑いをこらえるのに必死になるほど面白いです。本家を超えます。また、{netabare}コスプレや水着などのサービスシーンもあるわけですが、声だけでやっている所がまたいいですね。{/netabare}
いろいろとドラマCDは聞いていますが、これは本当に面白い!必聴です。
どうでもいいですけど…{netabare}花澤香菜さんって地声から可愛いんですね。参りました。{/netabare}
{/netabare}